渋谷教育学園渋谷
渋谷教育学園渋谷中学 理科 問題解説&入試分析★2020年(R2年)
今回は渋谷教育学園渋谷中学の第一回理科を扱います。
【問題分析】
大問は2つで、どちらもあらゆる分野にまたがった総合的な問題です。
単語や数字を答えるような問題はほぼなく、その場で読み取って答える渋渋らしい問題です。
大問1…山や月など遠くのものを動きながら見ると、何故拡大されたように見えたり,追いかけてくるように見えるのかということがテーマの問題です。
単語や数字だけ答えるような知識問題はほとんど問われず文章を読解して総合的な学力を使って組み立てる練習が必要です。
ただ本で読んだことあったり、考えて調べたことがある人なら数分で簡単に解けてしまう現実はあるので、注釈などに書かれてるようなエピソードを普段から興味を持って読んでおくようにして知識を増やしておきましょう。
例えば僕は中年になって男二人でディズニーランドに初めて行きましたが、一緒にいった仲間がディズニーランドの建物は大きく見えるのは遠近法を使った錯角が利用されているという話をどこかの国語の入試問題で読んだことある話をして永遠と聞かされました。
このような興味も大切です。
大問2…前半は熱の問題です。文章を読解して答えていくことになりますが,典型的な熱の問題を練習して知識をものにしていることが必要です。
後半は高校化学の天然高分子化合物の問題そのものです。今回はこれを扱います。
(問題)R2 渋谷教育学園渋谷中学 理科 大問2 問6
デンプンは、たくさんのブドウ糖が同じ距離、同じ角度で結合して、図2のような「らせん構造」をしています。ヨウ素デンプン反応は、デンプンのらせん構造の中にヨウ素が入り込むことで、デンプンがむらさき色に見える現象です。デンプンには図3のように枝分かれのないアミロースと、枝分かれのあるアミロペクチンがあります。
問6 アミロペクチンは、図4のようにブドウ糖の5個ある結合の手のうち、1番と4番を使ってらせん構造をつくり、1番と5番を使って枝分かれをつくっています。その構造を調べるために、アミロペクチン中のブドウ糖で結合していないすべての手に図5の例のようにカバーをします。次に、1番と4番、1番と5番の結合を切って、アミロペクチンをすべてばらばらにして、「カバー付きブドウ糖」にします。ただし、結合を切るときにカバーされた手は変化せず、カバーが付いたままになります。図6のアミロペクチンからは何種類の「カバー付きブドウ糖」ができることになりますか。
[解説]
まずは手がつながっているところはカバーされないので印をつけていきます。
1番であるもの 赤
1番と4番であるもの 青
1番と4番と5番であるもの 緑
4番であるもの 黄
の4種類であることがわかります。
この問題は大学受験でよく出題される化学の天然高分子化合物の問題です。
今は覚えなくていいことですが説明しておくと
図4の左のブドウ糖はα-グルコースと呼ばれ、結合の手のところのはヒドロキシ基(OH)がついてきます。
このヒドロキシ基がグリコシド結合していく、つまりは手と手がつながってアミロペクチンになります。
そしてヒドロキシ基をメチル化するとメトキシ基(OCH3)になり、これがカバーされた手のことになります。
そして希硫酸で加水分解することでカバーされた手の位置が違う4種類の化合物得られます。
渋渋では高校化学からの問題も出されることがあります。それは知識がなくても、文章を読んでその場で考える問題であり読解力、理科的な思考の練習が求められています。中学受験の範囲でなくともエピソード読んだり聞いたりしておくことは考える下地になるので少し意識しておくと合格に近づきます!(畠田)
渋谷教育学園渋谷中学 算数 問題解説&入試分析★2020年(R2年)
今回は渋谷教育学園渋谷中学の第一回を扱います。
【入試資料分析】
第1回は男子の人数はかなり減りました。
倍率も全体的に低くなっています。
年々偏差値が上がっていっているので簡単になったというわけではないと思います。
受験者数
男子…125名
女子…251名
合計376名
合格者数
男子…41名
女子…80名
合計121名
倍率
男子…3.04倍
女子…3.12倍
全体で3.11倍
【問題分析】
大問1…(1)基本的な計算問題です、しっかりあわせましょう。(2)最初に意外とやりにくい問題がきました。答えは観で何となくわかりそうなので答えてしまってください。論理的には積は111111以下のはずと考えるなどやります。(3)非常に典型的な図形問題、素早く完答したいです。(4)食塩水の問題で、極端に難易度が低いので逆に注意してください。(5)この問題はしっかり範囲を考える必要があり、少し面倒です。(1)~(5)まで難易度がバラバラなので混乱しないよう時間配分に気をつけましょう。
大問2…今回はこの問題を扱います。
大問3…点字をネタにした場合分けの問題です。去年もマイナンバーなどの検査数字をネタにした問題があり,社会生活をテーマとした問題が出題されています。
難易度はそんなに高くありませんが、読解力が試されているので注意しておきましょう。
大問4…回転体の体積の問題です。渋渋の過去問でも結構出されいるので、しっかり練習して満点を狙いましょう。
(問題)R2 渋谷教育学園渋谷中学 算数 大問2
1辺の長さが4cmである正方形と,1辺の長さが6cmである正方形が1つずつあります。1つの角Aを共通になるように置き,正方形の他の頂点を図のように点B,C,D,E,F,Gとします。
点Pは最初,点Bにあり,秒速1cmで正方形ABCDの辺を
B→A→D→C→B→A→D→C→B→…
のように動き続けます。
点Qは最初,点Fにあり,秒速1cmで辺EFを
F→E→F→E→…
のように動き続けます。
(1)点Pと点Qが,初めて両方とも最初と同じ位置になるのは,出発してから何秒後ですか。
(2)点Qから点Pに向かって限りなくのびる直線をかきます。この直線が正方形ABCDと正方形AEFGの面積を両方とも二等分するのは,出発してから10分間で何回ありますか。
(3)三角形CPQの面積が正方形AEFGの面積の半分になるのは,出発してから何秒後ですか。出発してから1分間のものをすべて答えなさい。ただし,解答欄はすべて使うとは限りません。また出発時は含めないものとします。
[解説]
(1)Pは16秒で1周,Qは12秒で1往復なので,16と12の最小公倍数を考えて48秒後です。
(2)
二等分するのはPがAまたはC,QがFの時です。
表より二等分されるのは何秒後かというと
12,36,60,…
で12が初項の公差24の等差数列となります。
よって10分では
(600-12)÷24=24余り12より24+1=25回
(3)実際にはPやQが頂点についた時を調べていって考えてみましょう。
ここでは論理的な解説を書いたとすると
点Pを通りAEに垂直な直線と線分FGとの交点をRとすると三角形GPQの面積は
(線分PRの長さ)×6÷2
となります。
そして三角形GPQの面積が最大、つまり(線分PRの長さ)=6cmが最大になると正方形AEFGの面積の半分である6×6÷2=18cm^2となります。
ということは点Pが辺AB上にある必要があることがわかります。
すると次の二つの場合あることがわかります。
4秒後,20秒後,36秒後,48秒後,52秒後
この問題は、動く点の問題でよく使う整理の仕方と、どのように移り変わっていくか実験してみて掴むことが必要です。ぜひPやQが各頂点にきたときを調べて移り変わりを追ってみてください。その上で,解説に書いたように論理的な考察もしてみてください。(畠田)
渋谷教育学園渋谷中学 算数 問題解説&入試分析★2019年(H31年)
今回は渋谷教育学園渋谷中学の第1回について書きます。
【入試資料分析】
第1回は比較的男子の倍率は低かったようです。
受験者数
男子…168名
女子…271名
合計439名
合格者数
男子…51名
女子…69名
合計120名
倍率
男子…3.29倍
女子…3.93倍
全体で3.66倍
【問題分析】
○大問1
小問集合です。
基本から少し毛が生えた程度なのでしっかりあわせたいところです。
(1)基本的な計算問題です。
約分されるであろうと思って整理して計算してください。
5625/10000×4/3×4/3-37/13×39/185=2/5
(2)渋谷から学校までを[240]mとすると
行きは[240]÷80=[3]分,往復で[240]×2÷120=[4]分より,帰りは[4]-[3]=[1]分なので速さは[240]÷[1]=240m/分です。
渋谷駅から渋谷教育学園渋谷中学までは歩いて550mくらいらしいですが計算しやすいように80と120の公倍数を使いました。
(3)7で割ると5余り,13で割ると11余る。
余りが同じだと解きやすいですが,不足が同じでも解きやすいのでチェックします。
どちらも不足が2なので7×13-2=89が条件を満たす一番小さい整数です。
ここから7×13=91ずつ増やせばいいので89+91×(16-1)=1454
(4)A 100gとB 300gを混ぜた400gから100gをとった食塩水はA 100÷4=25g,Bを300÷4=75gで出来ているので,A 100+25=125gとB 75gを混ぜて125:75=5:3で10+(15-10)×5/(5+3)=105/8 %
(5)原価を[100]とすると,定価[110],売価[88],利益は[110]×250+[88]×150-[100]×400=[700]
これが1750円なので[100]=1750÷7=250円
(6)前からA番目のグループは,分母がA+1の分数がA個続く群数列です。
1+2+3+…+13=91
1+2+3+…+13+14=105
なので14グループ目の100-91=9番目が100個目です。
1/2 | 2/3,1/3 | 3/4,2/4,1/4 | …
| 14/15, 13/15, 12/15, 11/15, 10/15, 9/15, 8/5, 7/15, 6/15
分母が5になるものは
分母が5のグループの
4/5,3/5,2/5,1/5
分母が10のグループで分子が2の倍数の
8/10=4/5,6/10=3/5,4/10=2/5,2/10=1/5
分母が15のグループで分子が3の倍数の
12/15=4/5,9/15=3/5,6/15=2/5
よって
(4+3+2+1+4+3+2+1+4+3+2)/5=29/5
○大問2
立方体の切断の問題です。
基本的な処理の仕方を身につけていけていたら点数を堅くとれます。
(4)だけ少し難しいです。
(1)底面が3/4倍になるので体積も3/4倍
(2)底面が1/2倍,高さが同じで,すい体なので1/3倍になり,1/2×1/3=1/6倍
(3)
(赤+青)の体積は立方体と比べて底面の面積が1/2倍,高さが2倍,すい体で1/3倍。(赤+青):赤=8:(8-1)=1:7より立方体から赤の部分を取り除いて
1-1/2×2×1/3×7/8=17/24
(4)
平面と平面の交わりは直線であり、平面BDHと平面HIKはともに対角線BDの中心と点Hを通るので平面BDHと平面HIKの交わった線はその2点を結べばよい。
青の部分の体積は立方体と比べて底面積1/2×1/2×1/2倍,高さは同じで,すい体なので1/3倍。
立方体の半分から青の部分を引いて
1/2-1/2×1/2×1/2×1/3=11/24倍
○大問3
今回はこの問題をとりあげます。
○大問4
そんなに工夫の必要のない回転の問題です。
ポイントは扇形2つあるので1つずつ回転したらわかりやすい感じです。
点数をしっかりとりたいですね。
(1)扇形2つです。2×2×3.14×3/4×2=18.84cm²
(2),(3)
回転前の扇形2つと,回転後の扇形2つを描きます。
回転軸からの距離が一番近いところと一番遠いところを90度の弧で結べばできあがりです。
(2)は
6×6×3.14×1/4+2×2×3.14×1/4×6=47.1cm²
(3)は
4×4×3.14×1/4×2+2×2×3.14×1/4×4+2×2=41.68cm²
(問題)H31 渋谷教育学園渋谷中学 算数 大問3
ある国では,6桁のマイナンバーを全国民に割り当てています。この6桁のうち,十,百,千,一万,十万の位の数は登録した順番に決め,一の位の数は次の法則によって算出した数とします。
①(十万の位の数)×6+(一万の位の数)×5+(千の位の数)×4+(百の位の数)×3+(十の位の数)×2を計算します。
② ①で求めた数を11で割り,余りを求めます。
③ 11から,②で求めた余りを引くことで求められる数をマイナンバーの一の位とします。ただし,2桁になった場合には0とします。
例: 51457☐…5×6+1×5+4×4+5×3+7×2=80
80÷11=7…3
11-3=8
より,一の位は8となり,この国民のマイナンバーは514578に決まります。
(1)この国のマイナンバーとしてありえないものを,次のア~ウの中からすべて選び,記号で答えなさい。
ア.111111 イ.101010 ウ.200200
(2)割り当てられたマイナンバーが32☐479であるとき,☐に当てはまる数は何ですか。
(3)役所で,マイナンバーが173591であると申告したところ,ある位の数が1つだけ誤っていると教えられました。その位の数は,正しいものより3小さいことが分かっているそうです。正しいマイナンバーを答えなさい。
(4)この国においてマイナンバーを申告するときに,ある位の数が1つだけ誤っている場合,どの位の数が誤りであるかを必ず判断することはできますか。解答らんの「できる」,「できない」のどちらかに丸をつけなさい。また,その理由を答えなさい。
[解説]
マイナンバーのチェックディジット,検査数字を元ネタに作られた問題です。
マイナンバーのことを全く知らなくても正解できるかどうかと全然関係ありません。
(1)上から5桁の数字から③を計算して,一の位と一致しているかを考えます。
。
アは1×6+1×5+1×4+1×3+1×2=20
20÷11=1余り9より③は11-9=2と決まるが,111111は一の位の数が1になっているのでありえません。
イは1×6+1×4+1×2=12
12÷11=1余り1より11-1=10から③は0ですが、ちゃんと一の位は0になっています。
ウは2×6+2×3=18
18÷11=1余り7より③は11-7=4ですが,200200は一の位の数は0になっているのでありません。
よってアとウです。
(2)(整数)+(整数)を11で割った余りは,(整数を11で割った余り)+(整数を11で割った余り)を11で割った余りと同じことを使います。
受験で重要なやり方です。
②を考えると
3×6+2×5+☐×4+4×3+6×2=52+☐×4
52を11で割った余りは52÷11=4余り8より(52+☐×4)を11で割った余りは(8+☐×4)を11で割った余りと同じです。
一の位は9より11-9=2から②の(8+☐×4)を11で割った余りは2になる必要があります。
つまり☐×4を11で割った余りが
(2+11)-8=5
になります。
そのような☐は4×4=16の4のみです。
(3)173591のうち誤っているのは上から5桁の部分か,一の位かの二つのパターンに分けて考えます。一の位が間違えてる場合を忘れそうなので注意してください。
まず②の計算は1×6+7×5+3×4+5×3+9×2=86,86÷11=7余り9
・上から5桁の部分に誤りがある場合
③の値は一の位が1より11-1=10が正しいことになるので,②の計算で正しくは余りが1大きくなるはずです。
①の計算は3×6=18より誤ることで最大で18小さくなったことに注意すると正しい①は
86+1=87か86+12=98の2つのパターンになります。
1大きくなることは無理
12大きくなるには12÷3=4より千の位が3小さかったことになるので
正しくは176591となります。
・一の位に誤りがある場合
一の位に誤りがあれば1+3=4ですが,②の値は9より③の値を計算すると11-9=2よりこの場合はないことがわかります。
(4) (3)の時点で3小さい条件がなければ176591か173592の可能性があるのできないことがわかります。
つまり
「できない」
理由…例えば173591は176591の他に173592の場合も考えられる
他にも②の計算で余りが1大きくなるように
例えば十万の位の数を2つ多くして2×6÷11=1余り1より373591など色々考えられます。(畠田)
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