整数問題
灘中学校 算数(1日目)2021(R3)入試分析 PART2
今回は前回の灘中学校の算数1日目の問題の二問目です。
整数問題です。
問題自体の難易度は高くはありませんが、灘らしい問題ではあるのでしっかり練習しておきたい問題です。
(問題)R3 灘中学校 算数第1日 大問7
Xは3桁の整数で、どの2つの位の数も異なります。Xを7倍すると4桁の整数ABCDを作ることができ、A>B,B>C,C>D,D>0となりました。このとき、Xは[ ]です。
[解説]
整数問題のよくある処理としては
○候補を絞る。
○シラミツブシにする
です。
まずXは3桁の整数なので7倍した4桁の整数には範囲があります。
X<1000
より
7×X<7000
です。
だからAは6以下になります。
しかもA>B>C>D>0です。
Aは4以上でないとB,C,Dが存在しません。
この条件を満たす4桁の整数を全てかくと
6543
6542
6541
6532
6531
6521
6432
6431
6421
6321
5432
5431
5421
5321
4321
の15個になります。
上から順に調べて
6531÷7=933
6321÷7=903
と見つかりました。
穴埋めなので1つ見つければオッケーですね。
灘でよく出題されるテーマの問題はしっかり出ています。高い平均点での戦いになるので過去問や類題などしっかり練習しておいて合格に近づいていきましょう!(畠田)
栄光学園中学校 算数 問題解説その2&入試分析★2018年(H30年)
今回は栄光学園中学校の問題をもう1問とりあげたくなったのでとりあげます。
(問題)H30 栄光学園中学校 大問2
1~10,2~11,…のような連続する10個の整数(1以上の整数)について考えます。
(1) ある連続する10個の整数の平均が34.5のとき,この10個の整数を下の例にならって答えなさい。
(答え方の例)
求めた10個の整数が1~10の場合:(1~10)
(2) 1~10の10個の整数を5個ずつ2つのグループに分け,それぞれの和を計算します。それらの値の差として考えられるものをすべて答えなさい。
(3) 連続する10個の整数を,5個ずつ2つのグループにどのように分けても,それぞれの和の値が等しくなることはありません。その理由を説明しなさい。
次に,連続する10個の整数を1つずつ,式( □+□+□+□+□)/(□+□+□+□+□)の□の中に入れ,この式の値を計算します。その値をXとすることにします。
例えば,9~18を(9+11+12+14+17)/(10+13+15+16+18)のように入れた場合は,
(9+11+12+14+17)/(10+13+15+16+18)=63/72=7/8なのでX=7/8となります。
(4) 考えられるXの値のうち,最も大きい値を答えなさい。
(5) Xの値が整数となるように,□の中に整数を入れなさい。一通りの場合だけ示せばよいものとします。
(6) X=11/14となるとき,□の中に入れた連続する10個の整数は何ですか。考えられるものをすべて求め,下の例にならって答えなさい。
(答え方の例)
求めた10個の整数が1~10と5~14の場合:(1~10) (5~14)
(1)連続する整数の和は
偶数個×(真ん中二つの平均)
奇数個×(真ん中の整数)
でした。
今回は10個の偶数個で真ん中二つの平均が34.5より真ん中二つは34,35です。
よって30,31,32,33,34,35,36,37,38,39の(30~39)とわかります
(2)このような問題はこれで解けるかはわかりませんが差が最大になるか、最小になる場合を考えてみたりします。
差が最大になるのは(1,2,3,4,5)と(6,7,8,9,10)でわかりやすいですね。
この差は5×5=25となります。
それではここから数字を交換すると差がどうなるかを実験してみることにします。
5と6を交換するときが一番変化が少ないので5と6を交換すると
(1,2,3,4,6)と(5,7,8,9,10)
小さい方の組が1増えて,大きい方の組が1減るので差は2減って23となります。
そしたら差が24は作れるか気になりますよね。
こういう場合は和を考えてみたり,奇数や偶数を考えてみるとわかることがあります。
2つのグループA,Bの和は1~10まで全て足せばよいのでA+B=55です。
これは奇数です。
2つの数の和が奇数であれば,差も奇数でした。
(※A+B=A-B+2×Bで(A+B)=(A-B)+(偶数)でA+BとA-Bの偶奇は同じ)
よって差が24になることはないので25の次に大きいのは23とわかりました。
今度は4と6を交換すると差は4減るので21
3と6を交換すると差は6減るので19
2と6は17
1と6は15
1と7は13
1と8は11
1と9は9
1と10は7
(1,5)と(6,10)は5
(1,4)と(6,10)は3
(1,3)と(6,10)は1
と色々な組み分けの仕方がありますが具体的に2ずつ減らせる例が作れるので
1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25とわかりました。
このように
最大や最小など考える
どう変化していくか調べていって
その値しか取れないことと(必要性),実際にその値がとれる例があること(十分性)
と言う流れで考えることで解きます。
(3) 前の問題が誘導になっていることがあります。(2)の場合では1~10では2つのグループの差が奇数なので0になることありませんでした。
連続する10個の整数でも同じようにできないかを考えます。
10個の連続する整数は奇数が5つ,偶数が5つあるので総和は
(奇数)×5+(偶数)=(奇数)
よって2等分することはできない。
(4) 10個の連続する整数から大きい方から5つを分子に、小さい方から5つを分子に入れたらよいことはわかると思います。
そしてどのような連続する10個の整数の場合かを考えます。
まずは今までの問がヒントになっていることから考えます。
2つのグループの差は大きくて25なので
(Xの分母)=△
(Xの分子)=△+25
の場合を考えることになります。
X=1+25/△
となるので△が小さい方がXは大きくなることがわかります。
△が一番小さくなるのは
(分母)=1+2+3+4+5=15
(分子)=6+7+8+9+10=40
の時よりX=15/40=3/8とわかります、
(5) さきほど書いたように
「最大や最小など考える
どう変化していくか調べていって
その値しか取れないことと(必要性),実際にその値がとれる例があること(十分性)」
の流れをやってみます。
(4)が誘導になっていてXの最大値は15/40=3/8よりXが整数になりうるのは1か2しかありません。
しかも(3)より二等分できなくて分母と分子を等しくすることができないから1はとれないので2の可能性しかありません。
と言うことは1+25/△=2より△=25とわかりました。
例えば連続する5個の整数の和が25になるパターンを考えると真ん中の値は25÷5=5より
(分母)=3+4+5+6+7
(分子)=8+9+10+11+12
の場合があります。
(6)同じように分子と分母の和や差を考えてみたりします。
そして具体的に値を書いていきます。
11+14=25より和は25の倍数で、しかも奇数なので奇数Aを使って
25×Aとあらわせます
連続する10個の整数は1+2+3+…+10=55よりA=1の25は無理です。
A=3のとき75になるのは真ん中2つの平均が75÷10=7.5より3~12
A=5のとき125になるのは真ん中2つの平均が125÷10=12.5より8~17
A=7のとき175になるのは真ん中2つの平均が175÷10=17.5より13~22
同様に,A=9:18~27,A=11:23~32,…
また差は14-11=3から3×Aとあらわせます。
A=3の時,3~12,差は9
A=5の時,8~17,差は15
A=7の時,13~22,差は21
A=9の時,18~27,差は27
A=11の時,23~32,差は33
…
さらに差は(2)より25以下の奇数は全て作ることができたので
A=3の時,3~12,差は9
A=5の時,8~17,差は15
A=7の時,13~22,差は21
で決まり
(3~12),(8~17),(13~22)
となります。
この問題はハイレベルな問題で必要な考え方や,論理を使います。過去問などで勉強して慣れていけば大丈夫です(畠田)
開成中学校 算数 問題解説&入試分析★2018年(H30年)
今回は開成を扱いたいます。
受験者数1171人,合格者388人,倍率3.0
合格最低点227点
各教科の平均点は
(合格者平均 全体平均 満点)の順に
国語(55.2 47.2 85)
算数(73.9 62.0 85)
理科(58.2 53.5 70)
社会(53.8 48.6 70)
算数は今年は典型的な普通の簡単な問題で合格者平均が8割7分と非常に高くなりました。その分、全体の合格最低点も高くなっています。
過去10年の算数の平均点は
60.9→64.6→72.1→55.7→68.3→61.9→61.1→53.7→54.8→73.9
でもっとも難しいのが2年続いて、突然もっとも簡単になりました。
開成は傾向がないのが傾向だけでなく、難易度の傾向もないのが傾向と言えそうです。
それでは平易な問題が多かったですが、一つ問題をとりあげたいと思います。
(問題)平成30年 開成中学校 算数 大問4
正方形のマスの中に,1は1個,2は2個,3は3個のように整数nはn個使い,ある整数から連続した3種類以上の整数を図のように小さい順に並べます。
図1では3マス四方の正方形に,2を2個,3を3個,4を4個,ちょうど並べきりました。
図2,図3では,6マス四方の正方形に11から13まで,1から8までの整数をちょうど並べきりました。(6マス四方に並べる並べ方はこの2通り以外ありません。)次の問いに答えなさい。(1),(2)では,2通り以上の並べ方がある場合は,すべて答えること。解答らんには,図1の3マス四方なら[2~4],図2,図3の6マス四方なら[11~13 1~8]のように書きなさい。
(1)7マス四方の正方形にちょうど並べきるには,いくつからいくつまでの整数を並べればよいですか。
(2)10マス四方の正方形にちょうど並べきるには,いくつからいくつまでの整数を並べればよいですか。
(3)30マス四方の正方形にちょうど並べきる並べ方は何通りありますか。また,それぞれの並べ方は何種類の整数を使うかを求めなさい。(6マス四方の正方形にちょうど並べきる並べ方は図2,図3の「11~13」,「1~8」の2通りです。この場合には,「[2]通りの並べ方があり,それぞれ[3,8]種類の整数を使う」と答えること。また,種類を示す整数は小さい順に並べること。)
図1では
2+3+4=3×3
図2では
11+12+13=6×6
1+2+3+4+5+6+7+8=6×6
と言うように連続する1以上の整数の和で表せばよいことがわかります。
連続する1以上の整数の和についてまとめると
偶数個のとき和は
(平均値)×(偶数個)
奇数個のとき和は
(平均値)×(奇数個)
となります。
偶数個の平均値の小数部分は0.5になることに注意してください。
以下、奇数個を先に数えてから偶数個を考えることにします。
(1)
7×7=49は
49×(1個)
7×(7個)
24.5×(2個)
このうち3種類以上のものは平均値が7で7種類の
[4~10]の整数を並べればよいことがわかります。
(2)
10×10=100は
100×(1個)
20×(5個)
12.5×(8個)
このうち3種類以上のものは平均値が20で5種類と平均値が12.5の8個より
[18~22],[9~16] の整数を並べればよいことがわかります。
(3)
30×30=900は
900×(1個)
300×(3個)
180×(5個)
100×(9個)
60×(15個)
36×(25個)
112.5×(8個)
37.5×(8×3個)
22.5(8×5個)
このうち3種類以上ものは種類が3,5,9,15,25,8,8×3=24,8×5=40の8通りあることがわかりました。
注…ある数を連続する1以上の整数の和で表す方法は一般に奇約数の個数あることが知られています。
例えば900であれば900=2×2×3×3×5×5より3が2つ,5が2つなので(2+1)×(2+1)=9通りあることわかります。
有名な典型問題でひねりも特にありませんが,1問でも間違えれば大きく響きます。
問題の内容が簡単でもたくさんの練習をしておくことが大切です(畠田)
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