数理教育研究会

灘中学校 算数(1日目)2019(H31)入試分析 その3

今回は灘中学、算数1日目の大問7をとりあげたいと思います。
一見N回目の出会いの問題に見えますが,出会いの度に折り返すし,速さも遅くなります。
文字など置いて力技で解くこともできて,それはそれで大事なことですが,算数の速さの問題としてもアプローチの仕方
『時間、距離、速さ、何が一定か』
『和と差を考えてみる』

に注目するという勉強になる良い問題と思います。

(問題)2019年度 灘中学校 算数第1日目 大問7
A地点とB地点を結ぶ道を,太郎君はAからBへ,次郎君はBからAへ向かって,それぞれ一定の速さで同時に走り始めました。2人の間の距離は3分間に1kmの割合で縮まりました。途中,2人はC地点で出会うとすぐに折り返し,速さをそれぞれ時速1kmだけおとして,来た道を戻りました。2人はそれぞれA,Bに到着してすぐに折り返し,Cよりも130mだけAに近いD地点で再び出会いました。Dで出会った2人はまたすぐに折り返し,速さをさらにそれぞれ時速1kmだけおとして,来た道を戻りました。そして,2人はそれぞれA,Bに到着してすぐに折り返し,Dよりも[   ]mだけAに近いE地点で出会いました。

[解説]
まず和を考えてみると

折り返してから出会いまでの太郎と次郎の進んだ長さの和が、AB二つ分で一定
→速さの和と時間が逆比

走り始めてから最初の出会いまではAB一つ分ですが二人ともC地点から太郎はAに次郎はBに向かって同時にスタートして折り返してきて1回目の出会いになったと考えれば太郎と次郎の進んだ長さの和がAB二つ分になるので扱いやすくなります。

H31nada1-7kaisetu1.jpg
二人の速さの和は
○~△:1÷3 km/分=1000/3 m/分
△~☐:1 km/時=1000/60 m/分=50/3 m/分ずつ遅くなるので1000/3-50/3×2=900/3 m/分
☐~●:300-50/3×3=800/3 m/分

距離が一定なので(○~△),(△~☐),(☐~●)の時間の比は

1000/3:900/3:800/3=10:9:8
なので速さの比は
9×8:8×10:10×9=36:40:45
となります。

次に差を考えてみると

太郎と次郎の速さの差は常に一定
→太郎と次郎の進んだ距離の差と時間が比例

太郎と次郎は1km/時ずつ遅くなっても,差はかわりません。
ということは太郎と次郎の進んだ距離の差は時間に比例します。

ABの中点をMとしてC,D,EをMについて対称移動した点をC’,D’,E’とすると太郎と次郎の進んだ距離の差は
○~△:CC’2つ分
△~☐:DD’2つ分
☐~●:EE’2つ分
それぞれ時間に比例するので36:40:45になります。

よって差の半分である図の青い線の部分も36:40:45になるのでそれぞれの長さを[36],[40],[45]とおくと
CM=[36÷2]=[18]
CD=[40]-[36]=[4]
ED=[45]-[40]-[4]=[1]
よってCD:ED=4:1よりED=130÷4=32.5m

(畠田)

灘中学校 算数(1日目)2019(H31)入試分析 その1

今年も入試問題解説をすることになりました。
よろしくお願いします。

最初は灘中学校の1日目です。

【入試資料分析】
まず今年の実質倍率は2.70です。
これはほぼほぼ例年程度でした。
(H24)2.81(H25)2.81(H26)2.97(H27)2.61
(H28)2.67(H29)2.76(H30)2.88(H31)2.70

次に平均点ですが注目すべきは算数です。
第1日目,2日目ともにここ数年で平均点が一番低く
平均点が高かった去年に比べて合計で30点ほど低くなっています。

(教科,受験者平均点,合格者平均点)の順に
(国語1日目,60.0点,63.6点)
(国語2日目,69.1点,75.1点)
(国語合計,129.1点,138.7点)
(算数1日目,38.5点,49.8点)
(算数2日目,44.5点,56.8点)
(算数合計,83.0点,106.6点)
(理科,64.5点,73.2点)
(総合,276.6点,318,6点)

全体的に難易度の高い問題が並びましたが,これは解くのに無理があるであろうというような問題はありませんでした。
算数をよく勉強してきた人にとっては,差をつけることが出来た試験であったと思われます。5割とることができたら,アドバンテージです。

【問題分析】
○大問1
(17-[   ]×77) × 2019/5 = 31+3/5-7/13

[解説]
計算問題です。
31+3/5-7/13 = 2019/65
2019/65 ÷ 2019/5 = 1/13
17-1/13 = 220/13
220/13÷77 = 20/91
素因数に注意して約分されることを意識することで素早く正確に解けます。

○大問2
[ア]/[イ] × [ウ]/[エ] = 1/[オ] の[ア]~[オ]に2,3,4,5,6,7,8,9の数から1つずつ当てはめて式を完成させました。ただし,同じ数を2回以上使うことはできません。また,[ア]/[イ]と[ウ]/[エ]は仮分数でもよく,これ以上約分できない分数です。このとき,[オ]に当てはまる数は[   ]です。

[解説]
5,7は5,7を約数に持つ整数が他にないので使えません。
残りの整数2,3,4,6,8,9において6だけ2と3の両方を約数に持つので[ア]/[イ],[ウ]/[エ]がこれ以上約分できない分数ということなので使えないので,入るとしたら[オ]だけです。
[ア]/[イ],[ウ]/[エ]がこれ以上約分できない分数となるには3の倍数を[ア]か[イ]のどちらか,[ウ]か[エ]のどちらかに入れることになるが,残りの3の倍数は3と9だけです。
つまり3の倍数は約分されずに残ることになるので[オ]は6以外ありません。
[オ]だけわかればよいので素早く6と答えられたら要領が良いですね。

○大問3
A,B,C,D,E,F,G,Hはどの2つも異なる2から9までの数字です。3桁の整数ABCとDEFを足すと4桁の整数10GHになり,この足し算で繰り上がりは百の位から千の位にだけあるとき,GとHの和は[ ① ]です。さらにこのとき,AがDより大きいとすると,ABCとして考えれる3桁の整数は全部で[ ② ]個あります。

[解説]
各桁の数に関する問題のアプローチは筆算や,各桁の数の関係式を作るなどが考えられます。
この問題は足し算で繰り上がりが百の位から千の位にだけあると書いてあるので各桁の数の関係式がたてやすいです。
百の位A+D=10,十の位B+E=G,一の位C+F=H
またA,B,C,D,E,F,G,Hは2から9のどれかですが、このことはよく全部足すと2+3+4+5+6+7+8+9=44で
A+B+C+D+E+F+G+H=44であるという使い方をよくします。
すると10+G+G+H+H=44でG+H=17とわかり,しかも(G,H)は(8,9)か(9,8)の場合しかありません。
A+D=10,A>Dより(A,D)=(7,3),(6,4)
(A,D)=(7,3)の時,残り2,4,5,6で和が8と9になる組み合わせは
2+6=8,4+5=9
よって(G,H)=(8,9)の時は(B,E)=(2,6),(8,6)の2通り,(C,F)=(4,5),(5,4)の2通り
(G,H)=(9,8)の時は(B,E)=(4,5),(5,4)の2通り,(C,F)=(2,6),(6,2)の2通り
で合計2×2×2=8個
(A,D)=(6,4)の時,残り2,3,5,7で和が8と9になる組み合わせは
3+5=8,2+7=9
よって同様に8個で
8+8=16個となります。
灘の1日目でよくある問題なので練習しておきましょう。

○大問4
これはこちらの記事で解説したいと思います。
http://edupastaff.blog82.fc2.com/blog-entry-545.html

○大問5
ある品物を仕入れ,利益を見込んで1個400円で売りました。しかし,いくつか売れ残ったため,売値を半額の200円にして残りをすべて売りました。その結果,売上高は26000円,利益は11600円になりました。品物1個の仕入れ値は1円未満の端数はありません。また,400円で売れた品物の個数は仕入れた品物の個数全体の6割より多く,7割より少ないことがわかっています。このとき,品物1個の仕入れ値は[ ① ]円で,400円で売れた品物の個数は[ ② ]個です。

[解説]
合計の仕入れ値は26000-11600=14400円で
合計の仕入れ値と売上高がわかっています。
よって品物1個の仕入れ値と品物1個の平均の定価の比がわかるのがポイントです。
(仕入れ値):(平均定価)=14400:26000
=36:65
仕入れ値と個数は整数より仕入れ値は14400の約数になります。
400円が6割,200円が4割の時,平均定価は400×0.6+200×0.4=320円で仕入れ値は320×36/65=177.2…
400円が7割,200円が3割の時,平均定価は400×0.7+200×0.3=340円で仕入れ値は340×36/65=188.3…
よって仕入れ値は178,179,…,188のどれかで14400の約数なので180円
合計の品物の個数は14400÷180=80個
400円で売れた品物の個数はつるかめ算より(26000-200×80)÷(400-200)=50個
算数として何か勉強になるように算数的に解きましたが,本番は数式で力技で計算して答えを出すことも大切です。

○大問6
89の倍数と113の倍数を,
89,113,178,226,……
のように小さいものから順に並べるとき,50番目の倍数は[   ]です。

[解説]
50番目までの(89の個数)と(113の個数)は
89×(89の個数)=113×(113の個数)で目星を付けると
(89の個数):(113の個数)=113:89
(89の個数)+(113の個数)=50
より
(89の個数)=50×113/(113+89)=27.97…,(113の個数)=50×89/(113+89)=22.02…
なので89の27倍と113の22倍付近を調べると
89×27=2403,89×28=2492
113×22=2486,113×23=2599
より50番目の数は2492
89-1=8×11,113-1=8×14で11と14では綺麗に50×14/(11+14)=28,50×11/(11+14)=22番目と綺麗に求まることから,89と113の比を考えて最後に調整しろというのがこの問題の意図なのかもしれません。

○大問7
これはこちらの記事で解説したいと思います。
http://edupastaff.blog82.fc2.com/blog-entry-546.html

○大問8
右の図のような点Oを中心とする円について,斜線部分の面積の和は[   ]cm^2です。

H31nada1-8shukushou.jpg

[解説]
まず図のように長さがわかります。
H31nada1-8kaisetu1.jpg

円の半径をAとすると
A×A=5×5×2=50
二つの直角三角形の面積の和は
12×4÷2+6×2÷2=30cm^2

H31nada1-8kaisetu2.jpg

図の斜線部の面積○+☐+△×2は円から2cm×10cmの長方形をのぞいた半分になっているので
斜線部の面積は137
(A×A×3.14-2×10)÷2=68.5cm^2
よって求める面積は斜線部の面積から直角三角形を2つ取り除いて
68.5-30=38.5cm^2
今年(2019年度)の甲陽学院の算数第1日目の平面図形でも使われたよくある処理です。
きっちり典型問題を勉強しておくということと,似たような問題と同じように解けないかアプローチの練習をしておきましょう。

○大問9
右の図で,三角形ABCは正三角形で,面積は1cm^2です。PBの長さがPAの長さの2倍のとき,三角形CPAの面積は[   ]cm^2
H31nada1-9.jpg

[解説]
正三角形の面積の問題なので正三角形のマス目が何個あるかということになるので正三角形方眼紙で考えます。
H31nada1-9kaisetu.jpg

図より三角形APBの形をした三角形は正三角形のマス目4個分の半分よりマス目1個分の面積を[1]とすると三角形ABCの面積は[4]÷2×3+[1]=[7],三角形CAPの面積はマス目1個分の面積より[1]で三角形ABCの1/7倍。よって1/7cm^2となります。

○大問10
表面が青色で塗られている正四面体を,底辺に平行な2枚の平面で高さを3等分するように切り,残りの3つの面についても同様に切ります。このとき,もとの正四面体はいくつかの正四面体といくつかの正八面体に分かれます。2つの面に色が塗られている立体は全部で[ ① ]個あり,3つの面に色が塗られている立体は全部で[ ② ]個あります。
ただし,正四面体とは,右の図1のような,どの面も合同な正三角形でできている三角すいです。また,正八面体とは,右の図2つのような,どの面も合同な正三角形でできている,8つの面をもつ立体です。
H31nada1-10.jpg

[解説]
まず2等分の場合は正四面体4個と正八面体1個ができました。
H31nada1-10kaisetu1.jpg

それを参考にして図のように3等分の上の2段だけで考えると,3面塗られている正四面体1個,3面塗られている正八面体1個,2面塗られている正四面体が3個あります。
3面塗られている正方形と正八面体は1個の頂点に1セット対応(○で表す),2面塗られている正四面体は1つの辺に1個対応(△)であわらします。
H31nada1-10kaisetu2.jpg
すると全体では2面塗られいるのは辺が6つより6個
3面塗られいてるのは頂点が4つより2×4=8個とわかります。

H31nada1-10kaisetu3.jpg
問われてはいませんが○と△を取り除いていくと,上から3段目に図のように太い線を面とした塗られている面のない正四面体が1個残ります。
灘や難関校でよくある問題で,知っているものを使って解きましょう。

○大問11
展開図が右の図のような立体の体積は[   ]cm^3です。ただし,実線で囲まれた三角形は3つの大きな直角二等辺三角形,3つの正三角形,3つの小さな直角二等辺三角形です。また,3本の破線は小さな直角二等辺三角形の2本の辺の真ん中を結ぶ直線です。折り方は,直角の印以外の実線が山折りで破線が谷折りです。

H31nada1-11.jpg

[解説]
図のように四面体の中に四面体の穴があり,更にその四面体も頂点で内側に四面体状に折られています。
H31nada1-11kaisetu1.jpg
これらの四面体は全て3面が直角二等辺三角形で相似です。

H31nada1-11kaisetu2.jpg

直角二等辺三角形の1辺が1cmの四面体の体積は1×1÷2×1÷3=1/6 cm^2
体積の比は大きい順に
4×4×4:2×2×2:1×1×1=64:8:1より
(64-8+1×2)×1/6=29/3cm^3
展開図の問題は定番で,この形は立方体から切り落としたもの,基本的な立体を組み合わせたものなどよくあるパターンを過去問で慣れておけばやりやすい問題です。

○大問12
右の図の六角すいは,底面が正六角形でOはその中心です。頂点Pと点QはどちらもOの真上にあり,PQの長さはQOの長さの2倍です。3点A,B,Qを通る平面でこの六角すいを切り2つの立体に分けるとき,頂点Pを含む方の立体の体積はもとの六角すいの体積の[   ]倍です。

H31nada1-12.jpg

[解説]
問題の図を見ると底面の正六角形が正三角形に分割されているのでPを頂点とした6つの三角すいを考えて,それらを切断して頂点Pを持つ3辺の比がそれぞれa倍,b倍,c倍になると体積はa×b×c倍になることを使うことが考えられます。
H31nada1-12kaisetu1.jpg
図のようにABの中点M,DEの中点Nとすると三角形PMNにおいてA,B,Qを通る切断面とPNの交点RはPNの中点になっています。
H31nada1-12kaisetu2.jpg
よって一つの三角すいの体積は全体の1/6より
1/6×2/3×(2/3×1+1×1+2/3×1+2/3×1/2+1/2×1/2+2/3×1/2)=13/36倍
難問ではなく標準的な問題を組み合わせた問題でしたが,よくある処理が使えないかを考えて,それを使うためには何がわかれば良いのか解法の過程が問われる良い問題です。(畠田)

灘中学校 算数 (2日目)2018(H30)入試分析

灘中学校、算数2日目をとりあげます。

受験者平均が(H24)71.4⇒(H25)54.9⇒(H26)49.7⇒(H27)52.7⇒(H28)50.8⇒(H29)48.4⇒(H30)54.8
合格者平均が(H24)86.2⇒(H25)70.3⇒(H26)63.9⇒(H27)64.6⇒(H28)61.2⇒(H29)62.4⇒(U30)69.2

受験者平均,合格者平均ともに例年より高めで,ここ最近ではこの差は大きめです。

それでは,最後に焦りそうな問題を一つとりあげたいと思います。

(問題)H30 灘中学校・2日目算数 大問4番の問2
1辺の長さが5cmの立方体のブロックが2種類あります。一方は光を通す透明なブロックで,もう一方は光を通さない黒いブロックです。また,図1は,光を通す6枚の正方形の板で囲まれた,1辺の長さが15cmの立方体の箱です。面ABCDの板だけふたになっています。
ふたを外して箱の中に2種類のブロックを合わせて27個入れるとき,それぞれのブロックが箱の中にどの位置にあるかを表す記号を次のように定めます。まず,1つの頂点がEにあるブロックの位置を1-1-1という記号で表します。次に,1-1-1を基準にして,EからFに向かう方向にx個目,EからHに向かう方向にy個目,EからAに向かう方向にz個目にあるブロックの位置をx-y-zという記号で表します。例えば,3-2-1の位置は図2の通りです。

nada20182m2.jpg
(1)ふたを外して箱の中に2種類のブロックを合わせて27個入れたのち,ふたを閉じ,面EFGHが床に触れるように箱を水平な床の上に置くと,図1のADに平行な矢印の方向から見ても真上から見ても,図3のように見えました。黒く見える部分を斜線で表しています。
(ア)黒いブロックが必ず入っている位置を表す記号をすべて,解答欄に記入しなさい。ただし,1つの解答欄には1つの位置を表す記号を記入しなさい。また、解答欄をすべて使うとは限りません。

[      ][      ][      ][      ][      ]
[      ][      ][      ][      ][      ]

(イ)(ア)で答えた位置以外に,黒いブロックが入っている可能性がある位置を表す記号をすべて答えなさい。ただし,1つの解答欄には1つの位置を表す記号を記入しなさい。また,解答欄をすべて使うとは限りません。
[      ][      ][      ][      ][      ]
[      ][      ][      ][      ][      ]

(ウ)箱の中にある黒いブロックの個数は最大で[      ]個,最小で[      ]個です。
(エ)箱の中の黒いブロックの配置として可能なものは全部で[      ]通りあります。

nada20182m1.jpg
(2)図4のように,箱の頂点Dにひもをつけてつるし,箱を床から離します。このとき,光を真上から当てたときに床にできる影を考えます。

(ア)図2の1-1-1,3-2-1の2つの位置に黒いブロックを入れ、その他の位置に透明なブロックを入れます。床にできる影のうち,3-2-1の位置にある黒いブロックの影は図5の斜線部分のような正六角形になります。1-1-1の位置にある黒いブロックの影を図5にかき入れなさい。ただし,影のふちを太くなぞり,内側を斜線で示しなさい。

(イ)箱を水平な床の上に置くと,ADに平行な矢印の方向から見ても真上から見ても,図3のように見えるようにブロックを箱に入れる場合を再び考えます。その中で箱の中にある黒いブロックの個数が最大の場合について,床にできる影を(ア)と同じように図6にかき入れなさい。

そのまま立体のまま考えても解ける人は解けると思いますが、焦ってくると混乱してきて頭がおかしくなりそうになります。
そこで問題文で1-1-1や3-2-1のように黒いブロックを座標のように表しているので座標のように考えて解いてみることにします。

nada20182k12.jpg
立方体の頂点の影に対応する記号を記入し、図のように立方体にx軸,y軸,z軸をとると、ぞれぞれの軸の影は図のようになります、
そして,1-1-1の立方体の影は紫のようになります。
そこで1-1-1を影においてx軸に1,y軸に1,z軸に1進ませた青い点に対応させます。
すると青い点は正六角形の右下の頂点になります。

(2)(ア)
nada20182k4.jpg
1-1-1と3-2-1は影においてそれぞれ進ませると青い点になるので
これが右下の頂点になるように正六角形を描きましょう。

(イ)
nada20182k3.jpg
(1)から1-2-2,3-2-2,2-1-1,2-3-1,2-1-3,2-3-3でそれぞれ影において進ませて青い点を記入すると
「(y軸に1進ませること)+(z軸に1進ませること)」=「x軸に1進ませること」の関係が影響し
1-2-2と2-1-1
3-2-2と2-3-3
が同じ点となり図の4つの青い点になります。
これが右下の頂点になるように正六角形を書いてください。

ややこしくなりそうな問題でも、問題文がヒントになっていたりすることもあります。
そしてこのような移動や影の問題では、頂点の1点だけに注目することなどの考え方も練習していけば点数につながるので色々な問題に触れて考え方を吸収していきましょう!(畠田)

灘中学校 算数(1日目)2018(H30)入試分析 その2

灘中学校の1日目をもう一問とりあげます。
反射の問題で、勉強になります。

(問題)H30 灘中学校・1日目算数 大問9番
光が鏡で反射するときには,図1のように角㋐と角㋑の大きさが等しくなります。
図2は,3枚の鏡AB,BC,CAで,何回も反射しながら同じ経路を繰り返し進む光の様子を表しています。このとき,角㋒の大きさは[      ]度です。

nada201812m1.jpg

反射と言えば、折り返しです。
色々な解法が考えられると思いますが、辺ABと辺ACで三角形を折り返すと図のようになります。
nada201812k1.jpg

○2つと×2つと△2つの和は、青い三角形の外角になっていて360°なので
○+×+△=180
左下の三角形と右下の三角形の内角の和から
○+×+74=180
○+78+△=180
なので3つの式を見比べると
×=78°,△=74°,○=180-74-78=28°
とわかりました。

使うことは基本的なことですが、対応できるバリエーション多くしておいて解けるようによく練習をしておきましょう!(畠田)

灘中学校 算数(1日目)2018(H30)入試分析 その1

今年から入試問題解説記事を担当することになった畠田です。
よろしくお願いします。

最初は灘中学校の1日目です。

資料情報をまず見てみると,
実質倍率は(H24)2.81⇒(H25)2.81⇒(H26)2.97⇒(H27)2.61⇒(H28)2.67⇒(H29)2.76⇒(H30)2.88
となり例年より高めです。

平均点は(教科,受験者平均点,合格者平均点)の順に
(国語1日目,59.4点,63.9点)
(国語2日目,70.7点,77.3点)
(国語合計,130.1点,141.2点)
(算数1日目,52.6点,66.5点)
(算数2日目,54.8点,69.2点)
(算数合計,107.4点,135.7点)
(理科,62.5点,71.9点)
(総合,300.0点,348,7点)

算数1日目の点数に目を向けると,
受験者平均が(H24)66.5⇒(H25)45.0⇒(H26)57.2⇒(H27)41.9⇒(H28)42.7⇒(H29)49.1⇒(H30)52.6
合格者平均が(H24)79.4⇒(H25)58.6⇒(H26)73.3⇒(H27)54.4⇒(H28)54.8⇒(H29)63.1⇒(H30)66.5

なのでここ数年では平均点は高めでしたが、受験者平均と合格者平均の差は例年並みです。

今年は去年までとは逆で1枚目の数の問題が、2枚目の図形の問題よりも点数がとりやすかったです。
一つの問題に固執せずに全ての問題を目を通せるような余裕のある男になるように勉強していきましょう。

それでは、正六角形の問題の経験値で差が出そうな図形系の問題を一つとりあげたいと思います。

(問題)H30 灘中学校・1日目算数 大問10番
右の図のように,正六角形ABCDEFの内側に点Pをとり,6つの頂点とPをそれぞれ直線で結びます。三角形ABP,CDP,EFPの面積がそれぞれ3cm^2,5cm^2,8cm^2であるとき,三角形BCPの面積は[      ]cm^2です。
nada1811m1.jpg

正六角形とこれば、まず6つの正三角形を分割することが考えられます。
色々な解法が考えられますが、3+5=8で△ABP+△CDP=△EFPの関係を使えと言う意図であったと推測して解法を考えてみると
nada1811k1.jpg
図より赤の部分は正三角形2個分になります。

nada1811k2.jpg
すると図より緑の三角形は正三角形3個分から赤の部分の正三角形2個分を引いて、正三角形1個分となり

緑の三角形はADを底辺と考えると、その底辺は正三角形の底辺の2倍です。
なので緑の三角形の高さは正三角形の高さの1/2倍になるので
△BCP:△EFP=(1-1/2):(1+1/2)
=1:3
よって
△BCP=△EFP×1/3
8/3cm^2
とわかりました。

正六角形を6つの正三角形に分ける問題は中学受験ではよく出るので、あらゆるパターンを練習しておいて点数に結びつけましょう。
頑張ってください!(畠田)

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