今回は筑波大学附属駒場中学校の問題を取り上げます。
【入試資料分析】
受験者数563人で合格者130人の倍率4.33倍
去年よりさがりましたが例年並です。
筑駒では最高点と最低点しか発表されていません。
算数、国語、理科、社会、調査書、各100点ずつの500点満点で最高403点、最低340点
例年通りと言ったところです。
今年の問題も具体的にやってみてから規則性を発見する筑駒のよくある問題でしたが,数学の方程式を使うと楽な問題も多かったと思います。
文字を使った式くらいは慣れておいてよいと思います。
【問題分析】
大問1…一次不定方程式の問題です。表を使って解くなど(1),(2)は瞬殺できたと思いますが(3)はX,Y,Zを3個ずつ足して50の倍数にするなど時間内に解くには工夫があった方が良いです。
大問2…試していくうちに,異なる3つの数では各桁に2回ずつ出るので合計数は(各桁の数)×222,2つ同じ数で1つ異なるの数では(各桁の数)×111と法則性に気付いていきます。
ただ,その法則性は数学的にもわかりやすくいので大して問題になりませんが(3)の整理の仕方が十の位と一の位の数の組み合わせで100マスを考えるかなど,この処理に筑駒らしさがあったように思います。
大問3…タクシーの料金といういかにも算数らしい問題ですが,距離に関する料金は切り上げ,時間に関する料金は切り捨てを混ぜてきて複雑になっています。筑駒らしい問題です。
大問4…(イ)=(ア)+(差),(ウ)=(ア)+(差)×2,(エ)=(ア)+(差)×3。(ア)+(イ)+(ウ)+(エ)=1×2の方程式でごり押しでわかってしまいます。今回はこの(3)をあつかいたいと思います。
(問題)2020年度 筑波大学附属駒場中学校 算数 大問4
図1のように,長方形ABCDにおいて,辺ABの長さ2m,辺ADの長さが1mです。この長方形の内側に点Pを,4つの三角形PAB,PBC,PCD,PDAの面積がすべて異なるようにとりあす。4つの三角形を,面積の小さい順に(ア),(イ),(ウ)、(エ)としたところ,三角形PABが(ア)となり,(ア)と(イ),(イ)と(ウ),(ウ)と(エ)の面積の差がすべて等しくなりました。次の問いに答えなさい。
(1)(ア)の面積が1/6m^2のとき,(エ)の面積を求めなさい。
(2)点Pが図2の位置にあるとき,三角形PDAが(イ)です。また図2で,点Qは辺AD上,点Rは直線PQ上にあり,PQとADは垂直です。さらに,斜線で示した図形DRAPの面積は,(ア)と(イ)の面積の差に等しく,1/6m^2です。このとき,QRの長さを求めなさい。
(3)点Pとして考えられるすべての位置を解答欄の長方形ABCDの内側にかきなさい。ただし,(ア),(イ),(ウ),(エ)の面積はすべて異なるので,図3の点線部分は答えに含まれません。
[解説]
(3)
まず△PAB+△PDCと△PAD+△PBCはどちらも平行四辺形の半分の面積1×2÷2=1m^2です。よって△PAB=(ア)が最小なので△PDCが最大となり(エ)とわかります。
(イ)と(ウ)はそれぞれ△PADと△PBCのどちらかとなります。
このような軌跡の問題は極端な場合を考えると軌跡が予想できます。
まず(ア)を最大にすると(ア)=(イ)=(ウ)=(エ)なので点Pは長方形ABCDの対角線の交点である中心になります。
(ア)と(イ),(イ)と(ウ),(ウ)と(エ)の面積の差をAとすると
そして(ア)を最小にした面積が0の場合は面積が(イ)=A,(ウ)=A×2,(エ)=A×3となればよいです。
実際にA=(長方形)÷6=1/3となればできます。
このとき(イ):(ウ)=1:2より点Pは辺AB上を1:2または2:1の点となります。
長方形の中心と、この2つの点をそれぞれ直線で繋ぐと答えはわかります。
本当に直線で良いのかどうかを考えると点Pを辺ADに平行に辺ABに向かって[1]進めると
(ア)の面積は[1]×2÷2=[1]減り,(エ)の面積は[1]増えます。
よって(ア)と(エ)の差は[2]増えます。
(イ)=(ア)+A,(ウ)=(ア)+A×2,(エ)=(ア)+A×3
よりAは[2]÷3=[2/3]増えます。
(イ)は(ア)が[1]減り,Aが[2/3]増えるから(イ)は[1]-[2/3]=[1/3]減ります。
△PADが(イ)とすると辺ADを底辺とすると高さは[1/3]×2÷1=[2/3]減ります。
ということは点PはABに向かってADに平行に[1]動かすと,ABに平行にADに向かって[2/3]動かせばよくなります。
1:2/3=3:2より対角線の中心から下に3進めて左に2進む直線と,下に3進めて右に2進む直線ということがわかりました。
もし数学的にやるとすると
(ア)の高さをy,(イ)の高さをxとすると
(ア)=2×y÷2=y,(イ)=1×x÷2=x/2
で(イ)-(ア)=x/2-yなので(ウ)=x/2+(x/2-y)=x-y
(エ)=x-y+(x/2-y)=x×3/2-y×2
(ア)+(エ)=1×2÷2からy+x×3/2-y×2=1よりy=x×3/2-1
となります。
文字の扱いに慣れている人はこれでごり押しでやっても大丈夫だと思います。
この問題は極端な場合を考えて答えをまず予想するということ,動かしてみて変化を考えることなどアプローチの仕方が勉強になります。
もし算数的に綺麗に解けなくてもごり押しで解くことも大切です。
がんばってください。(畠田)