今回は渋谷教育学園渋谷中学の第一回理科を扱います。
【問題分析】
大問は2つで、どちらもあらゆる分野にまたがった総合的な問題です。
単語や数字を答えるような問題はほぼなく、その場で読み取って答える渋渋らしい問題です。
大問1…山や月など遠くのものを動きながら見ると、何故拡大されたように見えたり,追いかけてくるように見えるのかということがテーマの問題です。
単語や数字だけ答えるような知識問題はほとんど問われず文章を読解して総合的な学力を使って組み立てる練習が必要です。
ただ本で読んだことあったり、考えて調べたことがある人なら数分で簡単に解けてしまう現実はあるので、注釈などに書かれてるようなエピソードを普段から興味を持って読んでおくようにして知識を増やしておきましょう。
例えば僕は中年になって男二人でディズニーランドに初めて行きましたが、一緒にいった仲間がディズニーランドの建物は大きく見えるのは遠近法を使った錯角が利用されているという話をどこかの国語の入試問題で読んだことある話をして永遠と聞かされました。
このような興味も大切です。
大問2…前半は熱の問題です。文章を読解して答えていくことになりますが,典型的な熱の問題を練習して知識をものにしていることが必要です。
後半は高校化学の天然高分子化合物の問題そのものです。今回はこれを扱います。
(問題)R2 渋谷教育学園渋谷中学 理科 大問2 問6
デンプンは、たくさんのブドウ糖が同じ距離、同じ角度で結合して、図2のような「らせん構造」をしています。ヨウ素デンプン反応は、デンプンのらせん構造の中にヨウ素が入り込むことで、デンプンがむらさき色に見える現象です。デンプンには図3のように枝分かれのないアミロースと、枝分かれのあるアミロペクチンがあります。
問6 アミロペクチンは、図4のようにブドウ糖の5個ある結合の手のうち、1番と4番を使ってらせん構造をつくり、1番と5番を使って枝分かれをつくっています。その構造を調べるために、アミロペクチン中のブドウ糖で結合していないすべての手に図5の例のようにカバーをします。次に、1番と4番、1番と5番の結合を切って、アミロペクチンをすべてばらばらにして、「カバー付きブドウ糖」にします。ただし、結合を切るときにカバーされた手は変化せず、カバーが付いたままになります。図6のアミロペクチンからは何種類の「カバー付きブドウ糖」ができることになりますか。
[解説]
まずは手がつながっているところはカバーされないので印をつけていきます。
1番であるもの 赤
1番と4番であるもの 青
1番と4番と5番であるもの 緑
4番であるもの 黄
の4種類であることがわかります。
この問題は大学受験でよく出題される化学の天然高分子化合物の問題です。
今は覚えなくていいことですが説明しておくと
図4の左のブドウ糖はα-グルコースと呼ばれ、結合の手のところのはヒドロキシ基(OH)がついてきます。
このヒドロキシ基がグリコシド結合していく、つまりは手と手がつながってアミロペクチンになります。
そしてヒドロキシ基をメチル化するとメトキシ基(OCH3)になり、これがカバーされた手のことになります。
そして希硫酸で加水分解することでカバーされた手の位置が違う4種類の化合物得られます。
渋渋では高校化学からの問題も出されることがあります。それは知識がなくても、文章を読んでその場で考える問題であり読解力、理科的な思考の練習が求められています。中学受験の範囲でなくともエピソード読んだり聞いたりしておくことは考える下地になるので少し意識しておくと合格に近づきます!(畠田)