今回は洛星中学校の前期を扱います。
きっちりそれが答えであると言うことを判断するのが難しい問題です。
(問題)H30 洛星中学校 前期 算数 大問6
たて1cm,高さ1cm,横2cmの直方体を【2ブロック】,
たて1cm,高さ1cm,横3cmの直方体を【3ブロック】,…
のように呼ぶことにします。ただし,横の長さは整数とします。
たて1cm,高さ1cmで横が十分に長い箱を3個用意し,図のように左端をそろえて並べます。これらの箱に,ブロックを左端から順に,次の<<ルール>>にしたがってつめていきます。
<<ルール>>
① ひとつの箱には,同じ種類のブロックを左端から順につめる
② 箱ごとに異なる種類のブロックを使う
このように順につめたとき,左端から何cmかのところで,初めて3つの箱のブロックの右端がすべてそろうところがあります。この長さを「そろった長さ」と呼ぶことにし,左端からそこまでをつめるのに使ったブロックの個数の合計を「使った個数」と呼ぶことにします。
たとえば,【2ブロック】【3ブロック】【4ブロック】を使ってつめるとき,「そろった長さ」は12cmで,「使った個数」は13個です。
(1)【4ブロック】【5ブロック】【6ブロック】を使ってつめるとき,「そろった長さ」と「使った個数」を求めなさい。
(2)【3ブロック】【8ブロック】ともう1種類のブロックを使ってつめたところ,「そろった長さ」は72cmとなりました。もう1種類のブロックは何ですか。考えられるものをすべて答えなさい。
ただし,「【4ブロック】,【5ブロック】」と答えるときは,4,5のように答えなさい。
(3) 3種類のブロックを使ってつめたとき,「そろった長さ」は180cmとなりました。このようなブロックの組み合わせを考えるとき,
(ア) 「使った個数」が一番少ない場合
(イ) 「使った個数」が一番多い場合
について,3種類のブロックと「使った個数」をそれぞれ答えなさい。
ただし,(ア)も(イ)も【1ブロック】と【180ブロック】は使わないものとします。
そろった長さはブロックのLCM
使った個数はLCM÷(ブロックの横の長さ)の和となります。
(1)(2)は簡単に答えます。
(1)使った長さは4,5,6のLCMで60cm
使った個数は60÷4+60÷5+60÷6=15+12+10=37個
(2)3と8とAのLCMが72となるようなAを求めることになります。
72=3×3×2×2×2
なのでAは9の倍数かつ72の約数より
9,18,36,72とわかりました。
(3)
(ア)「使った個数」が一番少なくなるのはブロックの横の長さが基本的には大きければ良いので180の約数で180を除いて大きい順に考えてみると90,60,45,…です。
ところが90,60,45のLCMは180なのでこの組み合わせは可能なので、この時が「使った個数」は一番少なくなることがわかってしまいます。
【45ブロック】【60ブロック】【90ブロック】の場合で
180÷90+180÷60+180÷45=2+3+4
=9個
(イ)180=2×2×3×3×5よりブロックの横の長さは
2×2と3×3と5の素因数を持つものがないといけません。
「使った個数」が一番多くなるには,ブロックの横の長さを基本的には短くする必要がありますが単純に比べるのが難しいので場合分けして整理して考えます。
3つの素数
大,中,小
があってLCMが
小×小×中×中×大
になるような3つの整数を考えることになります。
○小×小と中×中と大がそれぞれ別々の場合
(小×小,中×中,大)
の組み合わせが「使った個数」が一番多い場合になります。
つまり(4,9,5)で180÷4+180÷9+180÷5=45+20+36=101個
○小×小と中×中と大のうち2つがセットになる場合
1つがフリーになるので「使った個数」が一番多くなるには小を1つ使う場合に限られます。
(a) 小×小と中×中がセット
「使った個数」が一番多いのは
(小,小×小×中×中,大)
つまり(2,36,5)で180÷2+180÷36+180÷5=90+5+36=131個
(b) 小×小×大がセット
「使った個数」が一番多いのは
(小,小×小×大,中×中)
つまり(2,20,9)で180÷2+180÷20+180÷9=90+9+20=119個
(c) 小×小×大がセット
「使った個数」が一番多いのは
(小,小×小,中×中×大)
つまり(2,4,45)で180÷2+180÷4+180÷45=90+45+4=139個
○小×小と中×中と大がセットになる場合
180になるので不適です。
以上より「使った個数」が一番多いのは
【2ブロック】【4ブロック】【45ブロック】の場合の139個
本番中には完璧な論理で「使った個数」が一番多い場合など考えるのは難しいかもしれませんが,単純に小さければいいと言うわけではない問題があることをこの問題を通して知っておいて,あらゆるパターンを実際に書いてみて考えましょう(畠田)