数理教育研究会

入試問題解説

神戸女学院中等部 算数 2018(H30)入試分析

今回は神戸女学院中等部をとりあげます。

受験者248名に対して合格者が159名。実質倍率は1.56倍です。
合格最低点は体育実技(20点)を含めて、268点/460点。筆記で6割が目標です!

それでは神戸女学院が好きそうな処理が大変な問題です。

(問題)H30 神戸女学院中等部 算数 大問6
図のように、1辺1cmの正六角形ABDEFと1辺3cmの正三角形XYZがあり、はじめ点Pは点Aに、点Qは点Xにあります。
いま、大小2つのサイコロを同時にふります。
点Pは(小さいサイコロの目の数)×1cmだけ正六角形の周上を右回りに移動し、点Qは(大きいサイコロの目の数)×2cmだけ、正三角形XYZの周上を右回りに移動します。
例えば、1回目の小さいサイコロの目の数が4、大きいサイコロの目の数が2であったとすると、点Pは点Eに、点Qは点Dに移動します。また2回目の小さいサイコロの目の数が3、大きいサイコロの目の数が3であったとすると、2点P、Qは点Bで重なります。
koubejyogakuin18m1.jpg
(1)2つのサイコロを同時に1回ふったとき、2点P、Qが重なるようなサイコロの目の出方は何通りありますか。
(2)2つのサイコロを同時にふる操作を2回続けて行ったのち、2点P、Qが点Dで重なっているようなサイコロの目の出方は何通りありますか。
(3)2つのサイコロを同時にふる操作を3回続けて行ったのち、2点P、Qが点Aで重なるのが初めてとなるようなサイコロの目の出方は何通りありますか。
(1回目、2回目に点A以外で重なっていても構いません)

(1),(2)は簡単に書きます。

(1)小さいサイコロの目と点Pの関係は
(1,B),(2,C),(3,D),(4,E),(5,F),(6,A)
大きいサイコロの目と点Qの関係は
(1,C),(2,D),(3,Z),(4,A),(5,B),(6,Y)
なのでA,B,C,Dで重なるの場合が1通りずつの4通りとなります。

(2)2回続けて振って、点PがDに止まるのは(1回目の目)+(2回目の目)=3,9より、小さいサイコロの1回目と2回目の目の組み合わせは
(1,2),(2,1),(3,6),(4,5),(5,4),(6,3)の6通り

2回続けて振って、点QがDに止まるのは(1回目の目)+(2回目の目)=2,11より、大きいサイコロの1回目と2回目の目の組み合わせは
(1,1),(5,6),(6,5)の3通り
で6×3=18通りとなります。

(3)途中も含めてAに止まるには点Pは目の和が
(1回目)=6
(1回目)+(2回目)=6,12
(1回目)+(2回目)+(3回目)=6,12,18
点Qは目の和が
(1回目)=4
(1回目)+(2回目)=4,13
(1回目)+(2回目)+(3回目)=4,13
です。
点Qに注目すると(1回目)+(2回目)=4,13の時に(3回目)を加えて(1回目)+(2回目)+(3回目)=4,13にすることはできないので3回目以外でAで同時に重なるのは1回目しかないことがわかります。

と言うことは1つの解法として、小さいサイコロの目が
(1回目)+(2回目)+(3回目)=6,12,18
で大きいサイコロの目が
(1回目)+(2回目)+(3回目)=4,13
となる場合のうちから
小さいサイコロの(1回目)=6、大きいサイコロの(1回目)=4のパターンを除く方法が考えられます。

1回目の目で場合わけすると
小さいサイコロの目
(1回目)=1のとき
(2回目)+(3回目)=5は4通り、(2回目)+(3回目)=11は2通り
(1回目)=2のとき
(2回目)+(3回目)=4は3通り、(2回目)+(3回目)=10は3通り
(1回目)=3のとき
(2回目)+(3回目)=3は2通り、(2回目)+(3回目)=9は4通り
(1回目)=4のとき
(2回目)+(3回目)=2は1通り、(2回目)+(3回目)=8は5通り
(1回目)=5のとき
(2回目)+(3回目)=7は6通り
(1回目)=6のとき
(2回目)+(3回目)=6は5通り、(2回目)+(3回目)=12は1通り
全部で(4+3+2+1)+(2+3+4+5+6+5)+1=36通り
1回目にAである(1回目)=6は5+1=6通り

大きいサイコロの目
(1回目)=1のとき
(2回目)+(3回目)=3は2通り、(2回目)+(3回目)=12は1通り
(1回目)=2のとき
(2回目)+(3回目)=2は1通り、(2回目)+(3回目)=11は2通り
(1回目)=3のとき
(2回目)+(3回目)=10は3通り
(1回目)=4のとき
(2回目)+(3回目)=9は4通り
(1回目)=5のとき
(2回目)+(3回目)=8は5通り
(1回目)=6のとき
(2回目)+(3回目)=7は6通り
よって全部で(2+1)+(1+2+3+4+5+6)=24通り
1回目にAである(1回目)=4は4通り

なので36×24-6×4=840通り

思いつきで数えるのではなくて、漏れなく重複がないように処理の仕方を学んで身に付けることで解けるようになります。
色々な場合の数を勉強しておきましょう!(畠田)

洛南高等学校附属中学校 算数 2018(H30)入試分析

今回は洛南高等学校附属中学校の算数を1問とりあげます。

入試状況
受験者数→合格者数(実質倍率)
男子:551人→210人(2.62倍)
女子:254人→71人(3.58倍)
専願の合格者最低点は男子で209点,女子で232点
女子の難易度が高いことで有名ですね。

合格者平均点は
国語:3科型で80.6 4科型で85.3
算数:3科型で94.9 4科型で85.3
理科:3科型で73.9 4科型で72.1
社会:4科型のみで75.9
総合:3科型で249.4 4科型で244.8
算数の得点の差と社会の得点率を考えると、3科は算数を稼げるようにしたいところです。

今年は立体図形はよく見かける問題でしたが、平面図形の問題は難しいようでした。
その図形問題から全国的にも難しかったであろう1問をとりあげたいと思います。

(問題)H30 洛南高等学校附属中学校 算数 大問4(3)
図の円の半径は5cmです。[      ]にあてはまる数を答えなさい。
rakunan18m1.jpg

まず円の中心と頂点を結んでみます。
そして同じ角度のところに○を書いていきます。

rakunan18k1.jpg

台形なので図のように青い破線を延長すると∠OCDと∠ODCも錯角の関係から○です。
すると緑と黄と紫は相似で5:5:6の二等辺三角形となります。

AC=6×6/5=36/5
CO=AC-AO=36/5-5=11/5
CD=11/5×6/5=66/25
よって
□=(DB+CD÷2)×2
=(6-66/25+66/25÷2)×2
234/25 cm
とわかりました。

難しい問題でも同じような取り組み方で対処できることが多いので、色々な問題で練習してみましょう!(畠田)

大阪星光学院中学校 算数 2018(H30)入試分析

大阪星光学院を扱いと思います。

2017年度の入試概要は
志願者数:804名→741名→683名→755人
受験者数:765名→713名→653名→730人
合格者数:313名→298名→311名→284人
実質倍率:2.4倍→2.4倍→2.1倍→2.6倍
競争率は最近では高めでした。

点数情報は
国語(120点満点)
受験者平均:76.4→76.9→73.3→63.1
合格者平均:82.1→84.2→79.7→67.9
算数(120点満点)
受験者平均:77.4→79.7→72.8→68.3
合格者平均:95.0→91.6→87.4→88.3
理科(80点満点)
受験者平均:63.0→51.8→54.4→60.3
合格者平均:66.8→56.5→60.1→68.3
社会(80点満点)
受験者平均:59.1→55.9→55.0→57.7
合格者平均:62.1→59.3→58.2→61.9
総点(400点満点)
受験者平均:275.6→267.9→257.6→248.1
合格者平均:307.7→297.8→289.1→286.3

今年は算数の受験者平均と合格者平均の差が20点あり例年より高めです。
しっかり勉強しておけば点数につながる問題がばかりなので、実力差があらわれやすかったと思います。

それでは少し整理の仕方で差が出そうな問題です。
(問題)H30 大阪星光学院中学校 算数 大問4
40人のクラスで算数のテストをしました。問題は全部で3題あり,1番の点数は2点,2番の点数は3点,3番の点数は5点です。どの問題も正解以外は0点として点数をつけます。クラスの平均点は5.15点であり,2番を正解した人数と3番を正解した人数は同じです。右の表は,このクラスの成績を点数別にまとめたものです。
oosakaseikou18m1.jpg
(1) 表のアは[      ]人,イは[      ]人です。

(2) 1番を正解したのは何人ですか。求め方と答えを書きなさい。

(1) 簡単に出しておくと
アとイの点数の合計:5.15×40-10×3-7×7-3×8-2×5-0×2=93点
アとイの人数の合計:40-3-7-8-5-2=15
から鶴亀算よりアは
(93-5×15)÷(8-5)=6人
イは
15-6=9人
とわかりました。

(2) それぞれの点数の組み合わせは
0点…0
2点…2
3点…3
5点…2+3または5
7点…2+5
8点…3+5
10点…2+3+5
となります。
oosakaseikou18k1.jpg

ベン図を描くと5点になるのは緑と黄の部分で5点は9人より
緑+黄=9
また2番と3番を正解した人数は同じより
青+緑=紫+黄
つまり
黄-緑=青-紫=8-7=1
で和差算から
黄=(9+1)÷2=5
緑=(9-1)÷2=4
とわかりました。

よって1番を正解した人は
赤+紫+水+緑=5+7+3+4=19人
となります。

ベン図はたとえ使う必要がなくても描いてみるくらいがちょうど良いので、描いてみるのも手です。
がんばってください(畠田)

東大寺学園中学校 算数 2018(H30)入試分析 その2

今回も東大寺の問題を扱います。
経験で差が出そうな正六角形の図形問題です。

(問題)H30 東大寺学園中学校 算数 大問1番(2)
右図の正六角形ABCDEFにおいて,AF上に点Gをとりました。三角形BCGの面積と三角形DEGの面積の比が12:13であるとき,AG:GFを最も簡単な整数の比で答えなさい。
toudaiji182m1.jpg

正六角形の問題と言えば三角方眼です。
三角方眼のマス目が底辺の長さや高さの比にもなります。

toudaiji182k1.jpg
図の赤線をそれぞれの三角形の底辺とすると△BCGと△lDEGの面積の比は紫と緑の線分の長さの比になります。
よってAFの長さは(12+13)÷3=25/3に対応するので
AG:GF=(12-25/3):(13-25/3)=11:14
とわかりました。

正六角形の問題は三角方眼で考える,面積の比は底辺や高さの比に注目するなど基本的な方針を持てているか?で練習量や経験の差があらわれます。
色々な図形問題を勉強して方針を立てられるようになれば良いですね(畠田)

東大寺学園中学校 算数 2018(H30)入試分析 その1

今回は東大寺中学を扱います。

受験者数 791名→834名→894名→911名
合格者数 325名→347名→364名→373名
実質倍率 2.43 →2.40 →2.46 →2.44

倍率は例年通りです。

算数は受験者平均は
51.9点→62.4点→53.4点→53.8点
で去年と同じ程度です。

大問4番は難しいですが、敢えて大問4番を扱いと思います。

(問題)H30 東大寺学園中学校 算数 大問4番
白石○と黒石●を何個か横一列に並べて,次のルールで得点を決めました。○がちょうど2個続いた部分があればその部分に1点,ちょうど3個続いた部分があればその部分に2点,ちょうど4個続いた部分があればその部分に3点,…と決めて,●に関しても,●がちょうど2個続いた部分があればその部分に1点,ちょうど3個続いた部分があればその部分に2点,ちょうど4個続いた部分があればその部分に3点,…と決めて,その合計を得点とします。例えば,
toudaiji18m1.jpg

というように得点が決まります。次の問いに答えなさい。

(1) ① ○と●を合計3個並べるときの並べ方は全部で8通りありますが,それらの中で真ん中の石の色だけが異なる並べ方を表のように組にしました。ア組,イ組,ウ組,エ組それぞれについて,2つの並べ方の得点の差を答えなさい。
toudaiji18m2.jpg
② ○と●を合計6個並べて得点を求めた後,左から2番目に並んでいる石と右から2番目に並んでいる石を互いに交換しました。最初の得点と石を交換した後の並べ方の得点との差としてありえるものをすべて答えなさい。

(2) 左端の石と右端の石がどちらも○であるように,○と●を合計8個並べました。そのときの得点としてありえるものをすべて答えなさい。

(3) 左端の石が○であるように,○と●を合計10個並べて得点を求めた後,右端の石以外の石の中から2個の石を選んで互いに交換したところ,得点が3点増加し偶数の得点となりました。そこからさらに左端の石と右端の石を互いに交換しましたが,そのとき得点は変化しませんでした。
① 最初に並べたときの右端の石の色を答えなさい。
② 最初に並べたときの右から2番目の石の色を答えなさい。
③ 最初に並べたときの得点としてありえるもののうち,最も高いものを答えなさい。
④ 最初に並べたときの得点が,③のときの得点だったとすると,最初に並べたときの並べ方としてありえるものは全部で何通りありますか。

(1)① まずは実際やってみましょう。
これは後に続く問題の誘導になっていますが、実際やってみて問題を把握できる誘導でもあります。

ア組
○○○は2点
○●○は0点
よって差は2点

イ組
○○●は1点
○●●は1点
よって差は0点

ウ組
●○○は1点
●●○は1点
よって差は0点

エ組
●○●は0点
●●●は2点
よって差は2点となりました。

② 石を置き変えたときに、点数の増減に影響するのは隣の石だけなので
左3個と右3個に分けて考えたらよいことになります。
①を参考にして増える場合だけ考えれば十分なので

左3個:+2 右3個:+2
例 ○●○|●○●→○○○|●●●
2+2=4点の差

左3個:+0 右3個:+2 または左3個:+2 右3個:+0
例 ○●●|●○●→○○●|●●●
0+2=2点の差

左3個:+0 右3個:+0
例 ○●●|○○●→○○●|○●●
0+0=0点の差

なので0,2,4点とわかりました。

(2) 4つで実験的に考えると
○○○○ 3点
○○○● 2点
○○●○ 1点
○●○○ 1点
●○○○ 2点
○○●● 2点
○●○● 0点
●○○● 1点
○●●○ 1点
●○●○ 0点
●●○○ 2点
○●●● 2点
●○●● 1点
●●○● 1点
●●●○ 2点
すると○か●ではなく同じ石が続くか?違う石に切り替わる?がポイントと気づいてくるかもしれません。

左の石と同じ石が置かれていることをA,左の石と違う石が置かれていることをBと書くと
○○○○ AAA3点
○○○● AAB2点
○○●○ ABB1点
○●○○ BBA1点
●○○○ BAA2点
○○●● ABA2点
○●○● BBB0点
●○○● BAB1点
○●●○ BAB1点
●○●○ BBB0点
●●○○ ABA2点
○●●● BAA2点
●○●● BBA1点
●●○● ABB1点
●●●○ AAB2点
となりAの個数が点数になることがわかります。

左端の石と右端の石がどちらも○であるには左の石と違う石が置かれたBの回数が偶数回でないといけなくて,
かつ合計8個並べるということはA,Bは7個並びます。
すると考えられる場合は
Aが1個,Bが6個の1点
Aが3個,Bが4個の3点
Aが5個,Bが2個の5点
Aが7個,Bが0個の7点
1,3,5,7点とわかりました。

(3)① まず右端の石の色は,Bが奇数回なら左端の石の色と逆,Bが偶数回なら左端の石の色と同じです。
かつ合計10個並べるのでAとBは合わせて9回です。
3点増加すると点数が偶数になったということは,最初の点数は奇数でAは奇数回,Bは偶数回です。
よって右端の色は左端の色と同じで白色とわかります。

② (1)より隣同士または両端を含む場合以外の交換では0,2,4点の差になるので3点増加するのは隣同士または両端を含む場合の交換になります。

隣同士の交換は
BB→ABで+1点
例えば○[●○]…→○[○●]…

BA→BAで+0点
例えば○[●●]…→○[●●]

AB→BBで-1点
例えば○[○●]…→○[●○]…

AA→AAで+0点
例えば○[○○]…→○[○○]…

で3点増加は無理です。
と言うことは端を含む交換となります。

A→Bで-1点
例えば[○]○…→[●]○…

A→AとB→Bは+0点なので省略

B→Aで+1点
例えば[○]●…→[●]●…

なので左端+1点、もう片方は+2点となれば+3点となります。

よって
[○]●…○[●]○…→[●]●…○[○]○…
の交換であったことがわかります。

この時点で左端の石は●,右端の石は○です。
この二つを交換すること考えると

左端は
[●]●…→[○]●…
で-1点

右端は
…●[○]→…●[●]のとき
は+1点
…○[○]→…○[●]のとき
は-1点

より点数がかわらないのは右端が+1点となる場合で右から2番目の石は黒色とわかりました。

③ 今までわかっていることを整理すると最初の並びは
○●…○●○…●○
でBは少なくとも6回以上で、偶数なので
(A,B)=(3,6),(1,8)
の2パターンの3点と1点です。
よって最も高いのは(3,6)の場合の3点です。

④ Aが3回,Bが6回で○●…○●○…●○の形になるには
B∨B∨BB∨B∨B
で∨の箇所のところにAを3回分入れることになります。

4箇所の∨に入れるAの回数は
(0,0,0,3)
(0,0,1,2)
(0,0,2,1)
(0,0,3,0)
(0,1,0,2)
(0,1,1,1)
(0,1,2,0)
(0,2,0,1)
(0,2,1,0)
(0,3,0,0)
(1,0,0,2)
(1,0,1,1)
(1,0,2,0)
(1,1,0,1)
(1,1,1,0)
(1,2,0,0)
(2,0,0,1)
(2,0,1,0)
(2,1,0,0)
(3,0,0,0)
の(4+3+2+1)+(3+2+1)+(2+1)+1=10+6+3+1=20通りとわかります。

*4箇所の部分から重複を許して3つ選べばいいので4H3=6C3=(6×5×3)÷(3×2×1)=20通り

試験時間内に考えて解き切るのは難しいですが,きっちり論理的に解ける問題です。
小問で誘導されている,実験してみる,間に注目するなど問題の取り組み方,難しい条件整理/操作の問題で使う考え方が扱われているので勉強してみるのには良い問題です。
そして本番に小問がいくつか解けるようになればグッドです!(畠田)

甲陽中学校 算数2018(H30)入試分析 (2日目

甲陽二日目の甲陽らしい旅人算の問題をとりあげます。

(問題)H30 甲陽学院中学校 算数(第2日) 大問4番
池のまわりにある1周420mの道をA,B,Cの3人がそれぞれ一定の速さで歩いて回ります。この道のある地点を3人が同時に同じ向きに出発しました。出発してから4分40秒後にはじめてAがCを追いこし,出発してから8分24秒後にはじめてAがBを追いこしました。
(1)はじめてBがCを追いこすのは出発してから何分何秒後ですか。

(2)Bがこの道を歩いてちょうど6周回る間に,Aに3回追いこされ,Cを2回追いこしました。Bの歩く速さは毎分何mと何mの間ですか。ただし,Bが6周回ったとき,AとCは出発した地点にいません。

(1)差の速さで考えます。
速さは求めなくても、比で解けますが(2)のことも考えて速さを出すことにしました。
4分40秒=14/3分でAとCの進んだ距離の差は1周の420mになるので
A-C=420÷14/3=90m/分
8分24秒=42/5分でAとBの進んだ距離の差は1周の420mになるので
A-B=420÷42/5=50m/分
したがって
B-C=90-50=40m/分
より420÷40=10分30秒
とわかります。

(2)何が一定なのかを考えることが大切です。
Bが6周回る間の時間で考えるので、時間が一定で距離が速さに比例します。

もう一つ大切なポイントは追いこした回数は周った回数の差です。

BがAに3回追いこされたということはBが6周すると,Aは6+3=9周目から6+4=10周目の間にいます。
するとAとBとA-Bの速さの比はそれぞれ次の表のようになります。
kouyou182k1.jpg
したがってBの速さは
50×6/3=100m/分

50×6/4=75m/分
の間になります。

同じようにしてBはCを2回追いこしたのでBが6周すると,Cは6-2=4周目から6-3=3周目の間にいます。
BとCとB-Cの速さの比は次の表のようになります。
kouyou182k2.jpg
なのでBの速さは
40×6/2=120m/分

40×6/3=80m/分
の間になります。

以上から80m/分と100m/分の間になります。

どういう考え方を使うことが多いか?意識して問題を練習をしていけば解法が見えてくることがあるのでたくさん勉強してください(畠田)

甲陽中学校 算数 (1日目) その2 2018(H30)入試分析

大問4の難易度が少し高めの図形の問題を扱います。

(問題)H30 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問4番
正三角形ABCの辺ABの真ん中の点をDとします。また,PとQはそれぞれ辺BC,AC上の点で,図のようにAとP,PとQ,QとDを直線で結んだときにその長さの合計AP+PQ+QDが一番短くなるような点とします。
kouyoyu1812m1.jpg
(1)長さの比BP:PC,AQ:QCを最も簡単な整数の比でそれぞれ求めなさい。

(2)直線APと直線QDが交わる点をRとします。三角形PQRの面積は正三角形ABCの面積の何倍ですか。

(1)
最短距離の問題は図を折り返して,2点を直線で結べばよかったですね。
kouyou1812k1.jpg
ACで折り返して、更にB’Cで折り返してDとA’を直線で結びます。
一つの解法としてはDCとAA’の補助線でも引けば、図よりB’P’:P’C=3:1よりBP:PC=3:1
AQ:QC=AD:P’C=2:1
とわかります。

(2)
kouyou1812k2.jpg
RはDA’とAPとの交点なので、△ABA’にベンツ切りを使ってAR:RPを出す方法があります。
△ARB:△ARA’=BP:PA’=3:(4+1)=3:5
△ARA’:△BRA’=AD:DB=5:5
よって
AP:RP=(△ARB+△ARA’+△BRA’):△BRA’
=(3+5+5):5
=13:5
したがって
△PQR=△APQ×5/13
=△APC×2/3×5/13
=△ABC×1/4×2/3×5/13
=△ABC×5/78
5/78倍とわかりました

使うことは特殊なことではなく、よく使う方法なので普段からたくさん練習しておくことで点数につながっていくと思います。
勉強がんばっていきましょう(畠田)

甲陽中学校 算数(1日目) その1 2018(H30)入試分析

甲陽学院中学1日目の問題をとりあげたいと思います。

受験者数 389名→363名→350名→349名→317名→382名→369名→402名
合格者数 218名→216名→219名→219名→215名→220名→219名→222名
実質倍率 1.78倍→1.68倍→1.60倍→1.59倍→1.47倍→1.74倍→1.68倍→1.81倍
今年は例年よりも高い倍率となりました。

各科目の得点情報は
受験者平均
国語① 64.9→49.4→63.1→62.0→56.5→53.6→55.2
国語② 59.9→59.0→69.5→49.3→60.7→59.7→52.8
算数① 56.0→49.8→60.3→62.1→58.3→58.9→62.1
算数② 54.0→56.3→61.4→53.1→47.5→54.3→58.3
理科  54.7→52.1→67.9→53.7→59.8→56.9→47.9
合格者平均
国語 132.0→114.9→138.1→117.7→125.4→119.9→117.1
算数 128.6→122.6→138.3→127.2→119.0→130.5→141.4
理科 58.8→58.1→71.7→57.1→59.8→60.6→53.3

算数の(①の平均点)+(②の平均点)は
110.0→106.1→121.7→115.2→105.8→113.2→120.4
これと合格者平均との差は
18.6→20.5→16.6→12→13.2→17.3→21
例年に比べて少し差がつきやすかったようです。

それでは1日目の甲陽らしい速さの問題を取り上げます。

(問題)H30 甲陽学院中学校 算数(第1日) 大問3番
太郎,次郎,三郎は,直線道路で結ばれたA市とB市の間をそれぞれ一定の速さで一往復します。太郎と三郎はA市を,次郎はB市を同じ時刻に出発し,出発してから15分後に太郎と次郎ははじめて出会いました。そして,次郎がA市に着いたとき,太郎と三郎ははじめて出会いました。さらに,太郎と次郎が折り返したあと出会ったのは,はじめて出会った地点から600mだけA市に近い地点でした。
(1)太郎と次郎が折り返したあと出会ったのは,はじめて出会ってから何分後ですか。

(2)太郎と次郎の速さの差は,毎分何mですか。

(3)三郎の速さが毎分45mです。A市とB市は何m離れていますか。

(1)太郎君と次郎君が最初に出会うと二人の歩いた距離の和はAB1つ分で15分かかり、次に出会うまでの距離の和はAB2つ分なので15分×2=30分後になります。

(2)
kouyou1811k1.jpg
○から×までを15分間、×から□までが30分間です。

太郎と次郎が初めて出会ってからの30分間に進む距離を考えると図から
(太郎:×から□まで)-(次郎:○から×までの2倍)=600m
なので太郎と次郎の速さの差は
600÷30=20m/分
とわかります。

(3)
kouyou1811k2.jpg
○から×までのそれぞれの進んだ距離を考えて
(三郎の進んだ距離)は速さ45m/分から㊺
(太郎の□から×)までが太郎と次郎の速さの差20m/分から⑳
とおくと
(太郎の進んだ距離)=㊺+⑳+⑳
(次郎の進んだ距離)=㊺+⑳
となり
太郎の速さは45+20+20=85m/分
次郎の速さは45+20=65m/分
したがってABの距離は(85+65)×15=2250mとわかります。

同じ時刻は同じ記号を使うなど状況図を描いて、時間が一定の場合は速さと距離は比例します。
何が一定なのか?を意識して練習していけば点数に結びついていくのでがんばりましょう。(畠田)

灘中学校 算数 (2日目)2018(H30)入試分析

灘中学校、算数2日目をとりあげます。

受験者平均が(H24)71.4⇒(H25)54.9⇒(H26)49.7⇒(H27)52.7⇒(H28)50.8⇒(H29)48.4⇒(H30)54.8
合格者平均が(H24)86.2⇒(H25)70.3⇒(H26)63.9⇒(H27)64.6⇒(H28)61.2⇒(H29)62.4⇒(U30)69.2

受験者平均,合格者平均ともに例年より高めで,ここ最近ではこの差は大きめです。

それでは,最後に焦りそうな問題を一つとりあげたいと思います。

(問題)H30 灘中学校・2日目算数 大問4番の問2
1辺の長さが5cmの立方体のブロックが2種類あります。一方は光を通す透明なブロックで,もう一方は光を通さない黒いブロックです。また,図1は,光を通す6枚の正方形の板で囲まれた,1辺の長さが15cmの立方体の箱です。面ABCDの板だけふたになっています。
ふたを外して箱の中に2種類のブロックを合わせて27個入れるとき,それぞれのブロックが箱の中にどの位置にあるかを表す記号を次のように定めます。まず,1つの頂点がEにあるブロックの位置を1-1-1という記号で表します。次に,1-1-1を基準にして,EからFに向かう方向にx個目,EからHに向かう方向にy個目,EからAに向かう方向にz個目にあるブロックの位置をx-y-zという記号で表します。例えば,3-2-1の位置は図2の通りです。

nada20182m2.jpg
(1)ふたを外して箱の中に2種類のブロックを合わせて27個入れたのち,ふたを閉じ,面EFGHが床に触れるように箱を水平な床の上に置くと,図1のADに平行な矢印の方向から見ても真上から見ても,図3のように見えました。黒く見える部分を斜線で表しています。
(ア)黒いブロックが必ず入っている位置を表す記号をすべて,解答欄に記入しなさい。ただし,1つの解答欄には1つの位置を表す記号を記入しなさい。また、解答欄をすべて使うとは限りません。

[      ][      ][      ][      ][      ]
[      ][      ][      ][      ][      ]

(イ)(ア)で答えた位置以外に,黒いブロックが入っている可能性がある位置を表す記号をすべて答えなさい。ただし,1つの解答欄には1つの位置を表す記号を記入しなさい。また,解答欄をすべて使うとは限りません。
[      ][      ][      ][      ][      ]
[      ][      ][      ][      ][      ]

(ウ)箱の中にある黒いブロックの個数は最大で[      ]個,最小で[      ]個です。
(エ)箱の中の黒いブロックの配置として可能なものは全部で[      ]通りあります。

nada20182m1.jpg
(2)図4のように,箱の頂点Dにひもをつけてつるし,箱を床から離します。このとき,光を真上から当てたときに床にできる影を考えます。

(ア)図2の1-1-1,3-2-1の2つの位置に黒いブロックを入れ、その他の位置に透明なブロックを入れます。床にできる影のうち,3-2-1の位置にある黒いブロックの影は図5の斜線部分のような正六角形になります。1-1-1の位置にある黒いブロックの影を図5にかき入れなさい。ただし,影のふちを太くなぞり,内側を斜線で示しなさい。

(イ)箱を水平な床の上に置くと,ADに平行な矢印の方向から見ても真上から見ても,図3のように見えるようにブロックを箱に入れる場合を再び考えます。その中で箱の中にある黒いブロックの個数が最大の場合について,床にできる影を(ア)と同じように図6にかき入れなさい。

そのまま立体のまま考えても解ける人は解けると思いますが、焦ってくると混乱してきて頭がおかしくなりそうになります。
そこで問題文で1-1-1や3-2-1のように黒いブロックを座標のように表しているので座標のように考えて解いてみることにします。

nada20182k12.jpg
立方体の頂点の影に対応する記号を記入し、図のように立方体にx軸,y軸,z軸をとると、ぞれぞれの軸の影は図のようになります、
そして,1-1-1の立方体の影は紫のようになります。
そこで1-1-1を影においてx軸に1,y軸に1,z軸に1進ませた青い点に対応させます。
すると青い点は正六角形の右下の頂点になります。

(2)(ア)
nada20182k4.jpg
1-1-1と3-2-1は影においてそれぞれ進ませると青い点になるので
これが右下の頂点になるように正六角形を描きましょう。

(イ)
nada20182k3.jpg
(1)から1-2-2,3-2-2,2-1-1,2-3-1,2-1-3,2-3-3でそれぞれ影において進ませて青い点を記入すると
「(y軸に1進ませること)+(z軸に1進ませること)」=「x軸に1進ませること」の関係が影響し
1-2-2と2-1-1
3-2-2と2-3-3
が同じ点となり図の4つの青い点になります。
これが右下の頂点になるように正六角形を書いてください。

ややこしくなりそうな問題でも、問題文がヒントになっていたりすることもあります。
そしてこのような移動や影の問題では、頂点の1点だけに注目することなどの考え方も練習していけば点数につながるので色々な問題に触れて考え方を吸収していきましょう!(畠田)

灘中学校 算数(1日目)2018(H30)入試分析 その2

灘中学校の1日目をもう一問とりあげます。
反射の問題で、勉強になります。

(問題)H30 灘中学校・1日目算数 大問9番
光が鏡で反射するときには,図1のように角㋐と角㋑の大きさが等しくなります。
図2は,3枚の鏡AB,BC,CAで,何回も反射しながら同じ経路を繰り返し進む光の様子を表しています。このとき,角㋒の大きさは[      ]度です。

nada201812m1.jpg

反射と言えば、折り返しです。
色々な解法が考えられると思いますが、辺ABと辺ACで三角形を折り返すと図のようになります。
nada201812k1.jpg

○2つと×2つと△2つの和は、青い三角形の外角になっていて360°なので
○+×+△=180
左下の三角形と右下の三角形の内角の和から
○+×+74=180
○+78+△=180
なので3つの式を見比べると
×=78°,△=74°,○=180-74-78=28°
とわかりました。

使うことは基本的なことですが、対応できるバリエーション多くしておいて解けるようによく練習をしておきましょう!(畠田)

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