入試問題解説
渋谷教育学園渋谷中学校 算数 問題 解説&入試分析★2018年(H30年)第1回
渋谷教育学園渋谷中学を取り上げます。
第1回は受験者数は男子170名、女子250名、合計420名
合格者数は男子48名、女子71名、合計119名
倍率は男子3.54倍、女子3.52倍、全体で3.53倍
2018年第1回の入試合格最低点は300点満点中、男子182点・女子197点です。
今年も女子の難易度が高くなっています。
それでは勉強になりそうな立体図形の問題をとりあげます。
(問題)H30 渋谷教育学園渋谷中学校 第1回 大問3
1辺の長さが6cmの立方体があります。立方体の3つの頂点を通る平面で切り,立方体から1つの三角すいを取り除いた,図1のような立体Aを作りました。
次の問いに答えなさい。ただし,すい体の体積は,「(底面積)×(高さ)÷3」で求めることができます。
(1)解答用紙に立体Aの展開図の一部がかかれています。展開図の1つを完成させなさい。
(2)立体Aの①の面を底面として机に置き,真上から見ると1つの平面図形に見えました。そのときの図形の名前を答えなさい。
1辺の長さが10cmの立方体があります。立方体の3つの頂点を通る平面で切り,立方体から三角すいを取り除いた後,さらに立方体の3つの頂点を通る別の平面でもう一度切り,三角すいを取り除いた,立体Bを作りました。図2は立体Bの展開図です。ただし,図の等しい印は,等しい長さであることを表しています。
(3)立体Bの体積は何㎤ですか。
(4)立体Aを①の面を底面として机に置き,立体Bを②の面を底面として机に置きます。このときの,立体Aと立体Bの高さの比を最も簡単な整数の比で表しなさい。
(1)
すぐにわかればそれに越したことはないですが,一つの解法としては頂点打ちをします。
そして展開図の正三角形のところをA,B,Cを打って残りの頂点を打っていきます。
すると正方形BGFEがないので,これを書きます。
(2)
各頂点を①を含む平面に正射影するとどんな図形かと言う問題になります。
点D,G,Eを通る平面は①に平行です。
正三角形ABCと正三角形DGEを正射影してあわせると6つの頂点が等距離に並ぶようになるはずです。
図のような正六角形になります
(3)
3つの頂点を通る平面で三角すいを切り落とすことになる切り方は、図のように4つあります。
展開図に正方形がありませんが,このうち正方形がないのは一番右の切り方となります。
よって体積は立方体から三角すい2つを取り除いて
10×10×10-(10×10×1/2×10×1/3)×2=2000/3㎤
とわかります。
(4)
まず一般的に立方体から三角すいを切り落としたとき高さはどのようになるのかを考えてみます。
Bのように立方体を切ります。
切り口の正三角形は平行です。
すると図から切り落とす三角すいの高さは立方体の対角線の1/3とわかります。
(Aの元の立方体の辺の長さ):(Bの元の立方体の辺の長さ)=6:10=3:5
(立体Aの高さ)=(対角線の2/3)
(立体Bの高さ)=(対角線の1/3)
より
(立体Aの高さ):(立体Bの高さ)=3×2/3:5×1/3
=6:5
とわかりました。
頂点打ちや,切断,平面で考えるなど難しめの道具をたくさん使って解く問題です。
勉強にも良い問題なので練習しておきましょう!(畠田)
豊島岡女子学園中学校 算数 問題 解説&入試分析★2018年(H30年)
豊島岡女子学園中学校第1回の問題をとりあげます。
旅人算の難易度が高めの問題です。
(問題)H30年 豊島岡女子学園中学第1回 大問4
家と公園の間に図書館があります。AさんとBさんが家から公園までそれぞれ一定の速さで歩きます。Aさんは,家から公園まで20分かかります。Aさんが家から図書館まで歩くのにかかった時間と,Bさんが図書館から公園まで歩くのにかかった時間の合計は22分です。また,Bさんが家から図書館まで歩くのにかかった時間と,Aさんが図書館から公園まで歩くのにかかった時間の合計は23分です。このとき,次の各問いに答えなさい。
(1)Bさんが家から公園まで歩くのにかかった時間は何分ですか。
(2)Aさんが家から図書館まで歩くのにかかった時間は何分ですか。
(3)AさんとBさんが家を同時に出発し,また同時にCさんが分速360mで走る車で公園を出発し家へ向かいました。また,BさんはAさんとCさんが出会った地点を,AさんとCさんが出会ってから1分後に通過しました。家から公園までの距離は何kmですか。
(1)
線分図で足したり引いたりして、B:家→公を作ります。
Aは赤,Bは青です。
かかる時間で考えて
{(A:家→図)+(B:図→公)}+{(B:家→図)+(A:図→公)}-(A:家→公)=22+23-20 分
より
(B:家→公)=25 分
(2) (1)の問題から家→公までAは20分,Bは25分より同じ距離を歩くときの時間の比は
A:B=20:25=4:5
となります。
家→図までのAのかかる時間ですが,和や差で考えるとうまくいくことがあります。
{(B:家→図)+(A:図→公)}と(A:家→公)の差は(A:家→図)と(B:家→図)の差になります。家→図の同じ距離より,それぞれかかった時間をAは④,Bは⑤とおけて
23-20=3分が⑤-④=①に等しいので①=3
よってAさんが家から図書館まで歩くのにかかった時間は④=3×4=12分とわかりました。
(3)まず同じ時刻は同じ記号で状況図を書いて整理してみます。
準備としてAとBの速さの比を求めておくと,家→公までにかかった時間の逆比で
A:B=20:25=4:5
同じ時間であれば,距離は速さの比になります。
Cは紫です。
すると⑤-④=①の部分がBが1分で進む距離に相当します。
と言うことはB:○→△まで④はBの4分相当より○→△の時間は4分です。
これでC:○→△の距離は360×4=1440mとわかります。
B:家→公は距離㉕,A:○→△は距離⑤より,C:○→△は距離㉕-⑤=⑳
よって⑳=1440なので家から公園までの距離は
1400×25/20=1800m
つまり1.8kmとわかりました。
旅人算のレベルが高めの考え方、道具を使うので勉強するのにも良い問題です。
しっかり勉強していけば報われます!(畠田)
雙葉中学校 算数 問題解説&入試分析★2018年(H30年)
雙葉中学をとりあげます。
受験者数299人、合格者数120人で倍率2.5です。
昨年の倍率が2.96で今年は下がりました。
今年の問題は例年ような「解法は単純で計算が複雑」と言うわけではなく,どの問題もひねりが効いていてレベルの高い解法が問われる問題でした。
それでは勉強になりそうな展開図と場合の数の問題をとりあげます。
(問題)H30年 雙葉中学校・算数 大問5
[図1]の立体の4つの面は、すべて合同な正三角形です。この立体のそれぞれの面に1、2、3、4の数字を書きました。
ある方向から見ると[図2]、別の方向から見ると[図3]のようになりました。
(1)この立体の展開図を完成させましょう。また、向きを考えて2、3、4の数字も書きましょう。
(2)この立体を、4と書いた面を下にして置きます。ここから、辺を軸にして立体を倒して、下にきた数字を足していきます。
① 3回倒して、和が6となるときの下にきた数字の出方をすべて書きましょう。
必要なら答えの線をのばして書きましょう。(考え方と答え)
② 5回倒して、和が13になるときの下にきた数字の出方は全部で何通りですか。(考え方と答え)
(1)頭でイメージを考えると混乱して焦ってくる人もいるので、頂点うちをしたら良いですね。
更には数字の向きも考えないといけないので、数字の頭はどの頂点の方向に向いてるかもチェックします。
図の打ち方では
1は△ABCで頭はA
2は△ADBで頭はB
3は△BCDで頭はC
4は△ACDで頭はD
です。
1の頭がAに向くように△ABCの頂点をうちます。
図のように展開した場合は残りの頂点はすべてDですね。
後は
△ADBに頭がBになるように2
△BCDに頭がCになるように3
△ACDに頭がDになるように4
を書き込めば出来上がりです。
(2)
四面体を転がしていくわけですが,次に下になる可能性がある数字は今の下にあるもの以外の数字全部です。
単純化すると同じ数字が連続しないように数字の並びを決めていけばよくなります。
ここからは図形問題ではなく,同じ数字が連続しない並べ方の場合の数の問題です。
「数字の組み合わせを考える→並べる」
の手順で数えていく方針でやってみます。
数字の組み合わせを考えるときは漏れなく重複ないように
○≧□≧△≧…
となるように右の数字は左の数字以下のルールで数えることにします。
①
1,2,3,4を重複を許して3つ使って和が6になる数字の組み合わせは
411
321
222
最初に4がこないように並べると
(a)411の並べ方
1→4→1
(b)321の並べ方
1→2→3
1→3→2
2→1→3
2→3→1
3→1→2
3→2→1
(c)222の並べ方
2が連続するのでなし
よって7通りとわかりました。
②
1,2,3,4を重複を許して5つ使って和が13になる組み合わせは
44311
44221
43321
43222
33331
33322
です。
次に4が先頭にこないように並べると
(a)44311の並べ方
樹形図より7通り
(b)44221の並べ方
44311の場合で1と2を書きかえたらよいので同じ7通り
(c)43321の並べ方
・3から始めると次は1,2,3,4の4つの数字を3が先頭にこないように並べて3×3×2×1=18通り
・1から始めると○△○△○において△に2と4を並べて2通り,○に2つの3を入れて3通りで2×3=6通り
・2から始めるものも1から始めるのと同じで6通り
(d)43222の並べ方
2○2○2の○に3と4を並べて2通り
(e)33331の並べ方
3がどうやっても連続するのでなし
(f)33322の並べ方
32323の1通り
以上より7+7+18+6+6+2+1=47通りとわかりました。
大変な問題ですが,立体図形や展開図の解法,問題をシンプル化,漏れなく重複なく数えるための整理の仕方など有用なものを多く使うので勉強に良い問題です。
しっかり勉強しておきましょう(畠田)
女子学院中学校 算数 問題 解説&入試分析★2018年(H30年)
今回は女子学院をとりあげます。
受験者数が717名、合格者は275名
倍率は2.61倍になります。
合格最低点は非公表です。
低くても7割5分から8割を目標にしたいところです。
標準的な問題が多く、素早く正確に高得点をとる争いになります。
それでは少し工夫が必要であった過不足算の問題をとりあげたいと思います。
(問題)H30 女子院中等部 算数 大問5
中学生が何台かのバスで遠足に行きます。
各バスには,先生が必ず2人乗ります。乗客55人乗りのバス[ ]台では,30人分が空席になります。
乗客40人乗りのバスでは,55人乗りのときより2台増やしても生徒29人が乗れません。中学生は全員で[ ]人です。
過不足算ですが,過不足算を使うには分配されるものが一定である必要があります。
だから中学生の人数だけで考えるのがポイントです。
先生の人数を除くと
53 53 53 … 53 53 不足 30人
38 38 38 … 38 38 余り 38+38+29人
(不足)+(余り)=30+38+38+29=135人
バス1台で53-38=15人の差なので
バスは135÷15=9台
中学生の人数は53×9-30=447人とわかりました。
早く正確に答えるには,典型的な問題でもしっかりと使い方がわかっているかで差が出ます。
色々なパターンを練習して理解を広げておきましょう。(畠田)
桜蔭中学校算数 問題解説&入試分析★2018年(H30年)
今回は桜蔭中学を取り上げます。
受験者数521人、合格者数280人、補欠者数30人で倍率は1.9です。
平均点などは非公表ですが、例年では算数は6割5分程度が目安です。
今年の問題は数学的思考が必要なものや,算数としてもヘビーなものが多く難易度が高かったのではないかと思います。
それでは,他の問題でも使うことりそうな処理をする場合の数の問題です。
(問題)平成30年 桜蔭中学校・算数 大問2(2)
同じ大きさの白と黒の正三角形の板がたくさんあります。図のように白い板を24枚すきまなく並べて正六角形を作ります。
次に,24枚のうち何枚かを黒い板と取りかえます。
このとき,正六角形の模様は何通り作れますか。
ただし,回転させて同じになるものは同じ模様とみなします。また,正六角形を裏返すことはしません。
① 24枚のうち1枚を取りかえたとき
② 24枚のうち2枚を取りかえたとき
図の点Oを中心に60度ずつ回転させていって重なる板は同じ色で塗ると軌道は図のように4つになります。
①
1枚を赤の軌道,青の軌道,緑の軌道,紫の軌道のどこかに塗る4通りになります。
②
(a)1つの軌道に2枚 と (b)2つの軌道に1枚ずつの場合に分けて考えます。
(a)1つの軌道に2枚
軌道の選び方は4通り
その2枚の間隔が0,1,2の3通り
よって4×3=12通り
(b)2つの軌道に1枚ずつ
軌道の選び方は4つから2つ選ぶ組み合わせで(4C2=)(4×3)/(2×1)=6通り
例えば赤と青なら,図のように赤の1枚を固定して,青はその赤の板に対して6通りです。他の組み合わせも同じでこのように一方の軌道の板を固定して考えると,他方の軌道の板は6通り
よって6×6=36通り
(a),(b)より12+36=48通り
とわかりました。
円順列の1つを固定して考えたり,間隔を考える
回転して重なるものを分類して軌道を考える
などレベルの高い考え方、整理の仕方を使います。
本番は②は難しいかもしれませんが,勉強に良い問題で,桜蔭らしい問題でもあるので解いて勉強してみてください(畠田)
駒場東邦中学校 算数 問題 解説★2018年(H30年)
今回は駒場東邦中学校をとりあげます。
受験者数 500名,合格者数 284名で実質倍率1.76です。
教科ごとの点数は(平均点 合格者平均点 配点)の順に
国語(58.9 64.3 120)
社会(48.9 52.7 80)
算数(79.9 87.3 120)
理科(39.3 42.4 80)
合計(227.0 246.8 400)
合格最低点は226点
今年の算数は例年より,平均点と合格者平均点の差が小さく、差がつきにくかったようです。
簡単な問題でも整理の仕方,で差がついたであろう場合の数の問題をとりあげます。
(問題)H30年 駒場東邦中学 大問4
右ページの図1のように5×5四方のマス目の中央が塗りつぶされ,残りのマスに1から24までの番号が順番に書かれたカードがあります。また,1から24までの番号が1つずつ書かれたボールが入っている袋があります。この袋の中からボールを1つ取り出し,ボールに書かれた番号と同じ番号のマス目を塗りつぶすという作業を繰り返します。一度取り出したボールは袋には戻しません。カードのたて、よこ、ななめのいずれか一列の番号が全て塗りつぶされたとき「終わり」とし,作業を終了します。例えば図2,図3のように取り出すと「終わり」となります。
(1)作業をちょうど4回繰り返して「終わり」となるとき,塗りつぶされた数字の組み合わせは何通りあるか求めなさい。
(2)作業をちょうど5回繰り返して「終わり」となるとき,塗りつぶされた数字の組み合わせは何通りあるか求めなさい。
(3)作業を19回繰り返したとき,1が書かれたマス目は塗りつぶされず,さらに「終わり」となりませんでした。このような場合は全部で何通りあるか求めなさい。またそれらの中の1つを具体的に答えなさい。ただし,塗りつぶされずに残ったすべての数字に○をつけなさい。
(1)(2)は簡単に書きます。
(1)中央を通るたて,よこ,1→24のななめ,20→5のななめの4通りです。
(2)
(a)中央を利用しない場合
たて4通り,よこ4通りの合計8通り
(b)中央を利用する場合
まず4マスを使って中央を通るたて,よこ,1→24のななめ,20→5のななめの4通りの塗り方があります。
後1マスはそれぞれ残り20個マス目があり自由に塗って良いので合計4×20=80通り
よって8+80=88通り
(3)作業を19回繰り返すと,塗られていない部分は5マスとなります。
そのうちの一つは1なので、残りは4マスです。
そして問題用紙に11個,カードを書いてくれてます。
おそらくこれは実際に書いて考えればよいと言う意図で,11通り以下になると思われます。
塗られていない部分に○をつけるとします。
残りの4つの○は図の赤と紫の領域に書けばよくなりますが、3つの紫の領域には少なく1つは○を書く必要があります。
そこで紫の部分の塗り方は3パターンあるので,図のように(a),(b),(c)と場合分けして樹形図を描いてみます。
(a)
たての一番右の列は3パターン塗り方があり、残りはそれぞれ1通りずつ決まり3通りです。
以上より3+3+1=7通りとわかりました。
この場合の数の問題は色々な学校で出ることがありますが,どのような基準で数え上げていくか?どう整理していくか?で漏れなく速く解けるかかわってきます。
この問題も練習に良いので、解答や解説などを参考に数え上げの仕方を練習して自分のやり方を築き上げておいてください(畠田)
武蔵中学校 算数 問題解説&入試分析★2018年(H30年)
今回は武蔵中学をとりあげたいと思います。
受験者数541 合格者数185で実質倍率2.9
教科別の平均点は(満点 合格者平均点 受験者平均点)の順に
国語(100 82.3 75.9)
算数(100 66.9 46.3)
社会(60 35.8 33.4)
理科(60 36.5 31.3)
合計(320 221.5 186.9)
合格最低点201/320
今年の算数は難易度は高くはなかったです。
しかし例年のように受験者平均点と合格者平均点の差が20点こえています。
算数は合否に大きく影響したと思われます。
それでは武蔵の最後の問題でよくあるアプローチの仕方の練習で差が出る問題をとりあげます、
(問題)H30年 武蔵中学校 算数 大問4
1以上の整数Aについて,次のような規則で整数Bを決めます。これを以下「操作」と呼びます。
㋐ Aを3で割ったときの余りが2のとき…Aに1をたした数を3で割ったときの商をBとする。
㋑ それ以外のとき…Aに1をたした数をBとする。
このとき,A→Bのように表します。例えば,35→12となります。また操作を繰り返すときは,46→47→16→17のように表します。次の問に答えなさい。
(1) 次の[ ]にあてはまる数を書き入れなさい。119→[ ]→[ ]→[ ]→[ ]
(2)P→[ ]→[ ]→4となるとき,Pにあてはまる数を小さい方から順にすべて答えなさい。
(3)4→5→2→1のように,整数4は3回の操作で初めて1になります。
① 10以下の整数のうち,初めて1になるまでの操作の回数が最も多いのは何ですか。また,操作は何回必要ですか。
② ①の「10以下」を「50以下」に変えると答えはどうなりますか。
(1)119→120÷3=40→41→42÷3=14→15÷3=5
(2)逆の操作をしていくことを考えることになります。
4になるのは3か4×3-1=11です。
3になるのは2か3×3-1=8です。
よって7,9,23,29,31,95とわかりました。
(3)①これも逆の操作をしていくことを考えたらよさそうです。
樹形図を描いてみます。
10を超えるものは除外すると図のようになります。
よって6で7回の場合が最も多いです。
②同じように逆の操作をしていくことを考えますが、50以下では樹形図は大変そうです。
①から何かわからないか考えてみます。①の変化を見ると
1→2→5→4→3→8→7→6
このうち1→2→5の部分は1通りなので
5→4→3→8→7→6
を見てみましょう。
すると㋐の操作は数字が大きくなるので㋑2回,㋐1回の繰り返しで㋐をできるだけ避けていることがわかります。
これと同じように考えて㋑2回,㋐1回の繰り返しを続けると
5→4→3→8→7→6→17→16→15→44→43→42
で㋑㋑㋐㋑㋑㋐㋑㋑㋐㋑㋑となります。
これは11回の操作のうち㋐の回数は3回の場合が最小なのでこれ以外の操作で11回やると㋐は4回以上になります。
しかし㋐の操作を1つ多くすれば50をこえてしまいます。
なので最初の2回も加えて2+11=13回で42になる場合がもっとも多いことがわかりました。
武蔵の算数は奇問などはなく,算数の勉強量の差があらわれやすく合否に大きく影響します。
しっかり算数を勉強しておきましょう(畠田)
麻布中学校 算数 問題解説&入試分析★2018年(H30年)
今回は麻布中学をとりあげたいと思います。
出願者数933人
合格者数378人
倍率2.45
合格最低点106/200
配点は国語60点算数60点理科40点社会40点です。
今年の算数は処理が複雑なものはほとんどなく、小問により誘導されているのでやりやすかったかもしれません。
それでは麻布恒例の最後の実験をして掴んでいく問題をとりあげます。
(問題)H30年 麻布中学校 算数 大問6
2をN個かけ合わせてできる数を<N>と表すことにします。例えば
<3>=2×2×2=8,<5>=2×2×2×2×2=32
となります。ただし,<1>=2と約束します。
(1)<1895>の一の位の数字は何ですか。
(2)<12>+<2>と<13>+<3>を計算しなさい。
(3)<2018>の下2桁を答えなさい。
ここで,下2桁とは十の位と一の位の数字の並びのことです。例えば,1729の下2桁は29で,1903の下2桁は03です。
(4)<53>の下3桁は992です。<N>の下3桁が872となるNを2つ求めなさい。ここで,下3桁とは百の位から一の位までの数字の並びのことです。
(1)2をかけていくことを考えます。
一の位には十以上の位の数字から影響を受けません。
一の位だけ考えて
<1>は2
<2>は2×2=4
<3>は4×2=8
<4>は8×2=16で6
<5>は6×2=12で2
より<1>と<5>で一の位が等しいので2,4,8,6の周期4の繰り返しとなります。
1895÷4=473…あまり3
より<1895>の一の位は<3>の一の位と等しくて8とわかります。
(2)<12>+<2>=4096+4=4100
<13>+<3>=2×4100=8200
(3)麻布の最後の問題で(2)が関係ないということはあまりありません。
<2018>の下2桁を答えなさいと言うことですが,まずは(2)を使うのではないかと考えます。
(2)では<○+10>+<○>=(100の倍数)とよみとれます。
これは<○>の下2桁をNとすると、<○+10>の下2桁は100-Nと解釈できます。
すると<○+10>+<○+20>=(100の倍数)も成り立つので<○+20>の下2桁はNとわかり周期は20です。
2018÷20=100あまり18
より<2018>の下2桁は<18>の下2桁と同じです。
さらに<8>=256からこの下2桁は56
<18>の下2桁は100-56=44
なので<2018>の下2桁は44とわかります。
(4)(3)と同じようにできないか考えてみます。
992や872という数字ではピンとこないで逆を考えてみます。
1000-992=8,1000-872=128
これは<3>と<7>ですね。
992+8=1000から
<53>+<3>=(1000の倍数)
より
<○+50>+<○>=(1000の倍数)
とわかりました。
と言うことは同じように<○>の下3桁がNならば,<○+50>の下3桁は1000-N,<○+100>の下3桁はNで周期100です。
<7>=128と872+128=1000より
<50+7>=<57>の下3桁は1000-128=872とわかります。
周期100なので<57+100>=<157>の下3桁も872とわかります。
(注…数学的な背景としては
まず余りをマイナスまで拡張して考えて,<0>=1と定義します。
aのb乗をa^bと書くことにします。
また10=2×5,100=(2の2乗)×25,1000=(2の3乗)×125より5,25,125で割ったあまりを考えます。
さらに二項定理の展開を考えて
(pm+r)^p=Σ(k=2~p)pCk・(pm)^k・r^(p-k)+pm・pC1・r^(p-1)+pC0・r^p=(p^2の倍数)+r^p
より
((pで割るとあまりがrの自然数)^pをp^2で割ったあまり)=(r^pをp^2で割ったあまり)
であることを使います。
2^2=4は5で割ったあまりは-1
2^10=(2^2)^5=(5で割るとあまり-1)^5を25で割ったあまりが-1
2^50=(2^10)^5=(25で割るとあまり-1)^5を125で割ったあまりが-1であることから
<2>+<0>=(10の倍数)より<○+2>+<○>=(10の倍数)
<10>+<0>=(100の倍数)より<○+10>+<○>=(100の倍数)
<50>+<0>=(1000の倍数)より<○+50>+<○>=(1000の倍数)
となります。)
具体的に計算して実験してみたり、前の問いが誘導になっていないか?麻布の最後の問題らしい問題なので麻布対策に練習してみてください(畠田)
開成中学校 算数 問題解説&入試分析★2018年(H30年)
今回は開成を扱いたいます。
受験者数1171人,合格者388人,倍率3.0
合格最低点227点
各教科の平均点は
(合格者平均 全体平均 満点)の順に
国語(55.2 47.2 85)
算数(73.9 62.0 85)
理科(58.2 53.5 70)
社会(53.8 48.6 70)
算数は今年は典型的な普通の簡単な問題で合格者平均が8割7分と非常に高くなりました。その分、全体の合格最低点も高くなっています。
過去10年の算数の平均点は
60.9→64.6→72.1→55.7→68.3→61.9→61.1→53.7→54.8→73.9
でもっとも難しいのが2年続いて、突然もっとも簡単になりました。
開成は傾向がないのが傾向だけでなく、難易度の傾向もないのが傾向と言えそうです。
それでは平易な問題が多かったですが、一つ問題をとりあげたいと思います。
(問題)平成30年 開成中学校 算数 大問4
正方形のマスの中に,1は1個,2は2個,3は3個のように整数nはn個使い,ある整数から連続した3種類以上の整数を図のように小さい順に並べます。
図1では3マス四方の正方形に,2を2個,3を3個,4を4個,ちょうど並べきりました。
図2,図3では,6マス四方の正方形に11から13まで,1から8までの整数をちょうど並べきりました。(6マス四方に並べる並べ方はこの2通り以外ありません。)次の問いに答えなさい。(1),(2)では,2通り以上の並べ方がある場合は,すべて答えること。解答らんには,図1の3マス四方なら[2~4],図2,図3の6マス四方なら[11~13 1~8]のように書きなさい。
(1)7マス四方の正方形にちょうど並べきるには,いくつからいくつまでの整数を並べればよいですか。
(2)10マス四方の正方形にちょうど並べきるには,いくつからいくつまでの整数を並べればよいですか。
(3)30マス四方の正方形にちょうど並べきる並べ方は何通りありますか。また,それぞれの並べ方は何種類の整数を使うかを求めなさい。(6マス四方の正方形にちょうど並べきる並べ方は図2,図3の「11~13」,「1~8」の2通りです。この場合には,「[2]通りの並べ方があり,それぞれ[3,8]種類の整数を使う」と答えること。また,種類を示す整数は小さい順に並べること。)
図1では
2+3+4=3×3
図2では
11+12+13=6×6
1+2+3+4+5+6+7+8=6×6
と言うように連続する1以上の整数の和で表せばよいことがわかります。
連続する1以上の整数の和についてまとめると
偶数個のとき和は
(平均値)×(偶数個)
奇数個のとき和は
(平均値)×(奇数個)
となります。
偶数個の平均値の小数部分は0.5になることに注意してください。
以下、奇数個を先に数えてから偶数個を考えることにします。
(1)
7×7=49は
49×(1個)
7×(7個)
24.5×(2個)
このうち3種類以上のものは平均値が7で7種類の
[4~10]の整数を並べればよいことがわかります。
(2)
10×10=100は
100×(1個)
20×(5個)
12.5×(8個)
このうち3種類以上のものは平均値が20で5種類と平均値が12.5の8個より
[18~22],[9~16] の整数を並べればよいことがわかります。
(3)
30×30=900は
900×(1個)
300×(3個)
180×(5個)
100×(9個)
60×(15個)
36×(25個)
112.5×(8個)
37.5×(8×3個)
22.5(8×5個)
このうち3種類以上ものは種類が3,5,9,15,25,8,8×3=24,8×5=40の8通りあることがわかりました。
注…ある数を連続する1以上の整数の和で表す方法は一般に奇約数の個数あることが知られています。
例えば900であれば900=2×2×3×3×5×5より3が2つ,5が2つなので(2+1)×(2+1)=9通りあることわかります。
有名な典型問題でひねりも特にありませんが,1問でも間違えれば大きく響きます。
問題の内容が簡単でもたくさんの練習をしておくことが大切です(畠田)
筑波大学附属駒場中学校 算数 問題解説&入試分析★2018年(H30年)
今回は筑波大学附属駒場中学校の問題です。
受験者数554人で合格者128人の倍率4.33倍
算数、国語、理科、社会、調査書、各100点ずつの500点満点
最高405点、最低344点
算数は大問4問に対して40分という短い時間設定で、例年は難易度も高く素早く正確に解く力が求められましたが今年はかなり簡単で算数は高得点の争いになり満点も多く出たかもしれません。
問題の内容は書き上げて規則性を掴むなど筑駒らしい問題ではありました。
それでは前の問いが誘導になってるような筑駒らしい問題を一つとりあげます。
(問題)平成30年 筑波大学附属駒場中学 算数 大問3番
三角形ABCの内側に点Pがあり,Pから辺BC,AC,ABにそれぞれ垂直な線を引き,交わった点を順にD,E,Fとします。次の問いに答えなさい。
(1)三角形ABCが二等辺三角形であり,辺ABと辺ACの長さが28cm,辺BCの長さが14cmです。図1のように,Pを通りBCに平行な直線を①,Pを通りACに平行な直線を②,Pを通りABに平行な直線を③とし,③と辺BCが交わる点をGとします。
AFの長さは16cm,DGの長さは2.5cmです。
(ア)BDの長さを求めなさい。
(イ)CEの長さを求めなさい。
(2)図2のように,三角形ABCは正三角形であり,AFの長さは7cm,BDの長さは8cm,CEの長さは10cmです。このとき,正三角形の一辺の長さを求めなさい。
(1)垂線を引いてるのでAからBCにも垂線を引いてみます。
そして平行な線を引いているので、同じ角度には同じ印をつけてみます。
(ア)
AからBCに垂線をおろしてできた直角三角形の辺の比は
(14÷2):28=1:4
図のように相似と平行四辺形に注目すると図の計算よりBG=8cmとわかるので
BD=8+2.5=10.5cmとわかります。
(2)
(1)と同じように解けないか考えてみます。
同じように三角形ABCのそれぞれの辺に平行な線を点Pを通るように引くと、正三角形がたくさんできます。
Dを含む小さい正三角形の半分の長さを④とします。
正三角形と平行四辺形に注目すると図の計算より右下の平行四辺形から
⑧=17/2-①より①=17/18で正三角形の1辺の長さは
AB=3+②+8-④+⑧
=11+⑥
=50/3cm
とわかりました。
前の問いが誘導になっていることが多いので、同じように考えてできないか?
特に筑駒はこういう問題が多いので練習をよくしておきましょう(畠田)
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