今回は筑波大学附属駒場中学校の理科の問題を取り上げます。
【問題分析】
大問1…筑駒の定番の問題です。今回はこれを扱います。
大問2…モーターの問題です。簡単な問題なので落ち着いて素早く処理して満点狙いましょう。
大問3…あらゆる分野からの基本的な知識を問われています。単にワードを覚えるのではなく、そのワードが関連してることを覚えておきましょう。
大問4…昆虫の問題です。ナナホシテントウの頭と胸と腹の区別を覚えないといけないのではなくて3対の足がついてるのが胸ということから読み取れという考察が問われています。食べるエサも覚えていなくても,都会なのでテントウムシ見たことありませんという人も「春になると草むらの草の先たんなどによくナナホシテントウが見られる」いるというリード文である程度、アブラムシとわかります。
大問5…発芽条件の問題で,文章が長いですがサっと満点を狙いたいところです。光が影響する種類もあることを考慮するのを忘れないように。
大問6…溶解度を表から読み取り計算する基礎的な問題です。筑駒は時間が厳しいので素早く正確に解けるように練習しておきたいです。
大問7…熱と燃焼の問題です。簡単なので時間がなくてできなかったということは絶対にないようにしたいところです。
(問題)2020年度 筑波大学附属駒場中学校 理科 大問1
黒い積み木を10個、城井積み木をA,B,C,Dを1個ずつと板で作ったてんびんを用意した(図1)。いずれの積み木も底面の大きさが等しい直方体で、黒い積み木とAの重さを等しく、B、C、Dの重さはそれぞれAの2倍、3倍、4倍である。てんびんは中央に支点があり、左右5か所ずつ区切った場所に、支点から外に向かって①~⑤と番号をつけた。この場所に黒い積み木を置いて土台とし、その上に白い積み木を積むこととする。また、何も置いていないとき、板は水平のままであった。以下の分に続く後の各問いに答えなさい。
【操作1】黒い積み木を板に置いて土台を作る。次の(1),(2)の場合、板が水平のままとなる土台が何通りできるか調べた。ただし、左右を入れかえただけのものは同じ置き方とし、1通りと数える。
(1)板の左右に2個ずつ、4個とも違う番号に置いた(左右で同じ番号に置かない)場合
(2)板の左に2個、右に1個置いた場合
【操作2】操作1の(1)で板が水平のままとなる土台を、次のルールにしたがって4けたの数で表した。
黒い積み木を左の①と⑤、右の②と③に置いた場合、板の左はしから順に⑤①②③と並んだことになる。これを4けたの数5123(図2の上)と表す。3215(図2の下)も同じ置き方と考えるので、大きい方の5123をこの土台を表す数とする。
【操作3】操作1の(1)で板が水平のままとなる土台のうち、操作2で表した4けたの数が最も大きな土台を用意し、黒い積み木の上に白い積み木を積む。次の(3)、(4)の場合、板が水平のままとなる積み木が何通りあるか調べた。
(3)4個の黒い積み木の上に、白い積み木A~Dを1個ずつ積んだ場合
(4)4個の黒い積み木から選んだ3個の上に、白い積み木A、B、Cを1個ずつ積んだ場合
【操作4】操作3の(4)で板が水平のままとなる積み方では、黒い積み木が置かれていない場所が6か所ある。このすべてに黒い積み木を1個ずつ置いた後、板がどうなるか調べた。
1.操作1の(1)、(2)では、板が水平のままとなる土台はそれぞれ何通りできますか。
2.操作3で用意した土台を表す4けたの数を書きなさい。また、操作3の(3)、(4)では、板が水平のままとなる積み方はそれぞれ何通りありますか。
3.操作4の結果、どうなると考えられますか
ア 白い積み木の積み方によらず、板の左はしが下がる。
イ 白い積み木の積み方によらず、板は水平のままとなる。
ウ 白い積み木の積み方によらず、板の右はしが下がる。
エ 白い積み木の積み方によって、板の右はし、または左はしが下がるが、水平のままになることはない。
オ 白い積み木の積み方によって、板の右はし、または左はしが下がる。あるいは水平のままとなる。
[解説]
1.(1)黒い積み木は全て同じ重さです。
よってモーメントの大きさは番号に比例することになるので
(左の二つの番号の和)=(右の二つの番号の和)
となればよくなります。
異なる4つの数字を使うので使わない数字は1つになりますが
5つの数字の和は1+2+3+4+5=15の奇数なので、使わない数字を取り除くと和は偶数である必要があるので使わない数字は奇数となります。
1を使わないとき 和は(15-1)÷2=7で 2+5=3+4
3を使わないとき 和は(15-3)÷2=6で 1+5=2+4
5を使わないとき 和は(15-5)÷2=5で 1+4=2+3
の3通り
(2)
(左の二つの番号の和)=(右の一つの番号)
となればよくなります。
左の二つの番号の和は小さくて1+2=3なので
3=1+2
4=1+3
5=1+4,2+3
の4通りとわかります。
2.4けたの数が最もおおきな土台は(1)より5234
(3)白い積み木の重いさの比はA:B:C:D=1:2:3:4です。
5×☐+2×☐=3×☐+4×☐
の☐に1,2,3,4を1つずつ入れる方法になります。
2×☐は偶数、4×☐は偶数なので
5×☐と3×☐の偶奇は一致しないといけません。
3と5は奇数なので3×☐と☐の偶奇は一致,5×☐と☐の偶奇は一致するので
5×(偶数) 3×(偶数)
または
5×(奇数) 3×(奇数)
の場合に限られることになります。
○5×(偶数) 3×(偶数)の時
5×[2]+2×☐=3×[4]+4×☐は5×[2]+2×[3]=3×[4]+4×[1]
5×[4]+2×☐=3×[2]+4×☐は無理
○5×(奇数) 3×(奇数)の時
5×[1]+2×☐=3×[3]+4×☐は無理
5×[3]+2×☐=3×[1]+4×☐は5×[3]+2×[2]=3×[1]+4×[4]
の2通りとわかりました
(4)5×☐+2×☐=3×☐+4×☐の☐に0,1,2,3を1つずつ入れる方法になります。
同様にして
○5×(偶数) 3×(偶数)の時
5×[0]+2×☐=3×[2]+4×☐は無理
5×[2]+2×☐=3×[0]+4×☐は5×[2]+2×[1]=3×[0]+4×[3]
○5×(奇数) 3×(奇数)の時
5×[1]+2×☐=3×[3]+4×☐は5×[1]+2×[2]=3×[3]+4×[0]
5×[3]+2×☐=3×[1]+4×☐は無理
で2通りとわかります。
3.左の⑤と②、右の③と④に乗せてる積み木によるモーメントの和は左と右で同じになっています。
そして5+2=3+4=7より黒い積み木が置かれていない場所によるモーメントの和は番号の和を考えて左も右も15-7=8となるので白い積み木の積み方によらずに、板は水平のままとなります。
筑駒の理科ではてこの問題で何通りあるかという問題が定番ですが,早く解けるようにすることが重要です。
そのためには整理の仕方の練習をして奇数や偶数を考えるなどして場合分けを少なくしたりなど出来るようになっておくことも有効です。
がんばってください(畠田)