数理教育研究会

灘中学校 算数(2日目)2021(R3)入試分析

灘中学校の算数2日目をとりあげたいと思います。

1日目の記事に書いてるように2日目の平均点は例年程度の高めのラインでした。
しかし目新しい問題はなく過去問や難関校の類題ばかりであったことを考えると、もう少し平均点高くて良かったんじゃないかと個人的には思います。
それもコロナの影響なのかもしれないし、もしかすると問題の読み間違えが多かったこともあったのかもしれません。


【問題分析】
大問1…濃度の問題。濃度としての高度な問題というわけでもなく、何回ずつとるかという整数問題が絡んでいます。思ったよりも当たり前な答えになるので逆に戸惑ったかもしれません。

大問2…パスカルの三角形の問題。灘や難関校でやり尽くされた問題で、よく練習している子は瞬殺であったと思います。

大問3…平面図形の問題。正六角形をネタとした標準的な解法の問題で、完答しておきたい。

大問4…灘でよく出る操作の問題。過去問で練習していれば、簡単であったと思います。しかし、あまり練習していなければ、意図が分からずに最初の9つの空欄を埋めるところで玉砕したかもしれません。

大問5…立体の切断の問題。典型問題なので練習している人は瞬殺できたと思います。わかりやすく誘導もされています。今回はこの問題の(2)を扱いたいと思います。


(問題)R3 灘中学校 算数第2日 大問5
図1は、1辺の長さが6cmの立方体ABCD-EFGHです。この立方体の面EFGHは水平な地面についています。
この立方体から、図2の斜線部分の正方形を底面とし、高さが6cmの直方体をくりぬきます。次に、図3の斜線部分の正方形を底面とし、高さが1cmの直方体をくりぬきます。さらに、図4の斜線部分の正方形を底面とし、高さが1cmの直方体をくりぬきます。このようにしてできる図5の立体をPとします。

(1)立体Pの体積は[   ]cm³です。

(2)立体Pを、頂点A,C,Fを通る平面で切って2つの立体に分けたとき、頂点Bを含む方の立体をQとします。

(ア)右の図は、立方体の面EFGHから5cmの高さにある平面で立体Qを切ったときの真上から見た切り口を書き入れたものです。その平面と面AEFBの交わりを太線で表しています。立方体の面EFGHから4cm,3cm,2cmの高さにある平面で立体Qを切ったときの真上から見た切り口を、右の図にならってそれぞれかき入れなさい。

(イ)立体Qのうち,面EFGHから2cmの高さになる平面と面EFGHとではさまれた部分の立体の体積を求めなさい。

[解説]
(1)省略
(2)

(ア)で高さ4cm,3cm,2cmの切り口を書かされています。
これが誘導になっています。

同じように高さ6cm,5cm,4cm,3cm,2cm,1cm全部書いてみます。

1cm×1cm×1cmの小立方体の集合であると考えると、切り口の図は各層の小立方体が並べられていると考えることができます。

すると小立方体何個分か?という問題になります。

小立方体は何個切断されますか?と言う問題と同じように考えます。

青のラインが小立方体の上面、赤のラインが小立方体の下面です。

すると青のラインで小立方体を切断すると1/6個分が残ります。

赤のラインで小立方体を切断すると5/6分が残ります。

なので立体Qのうち面EFGHから2cmの高さになる平面と面EFGHとではさまれた部分の立体の体積は小立方体が
高さ2cmでは青のライン2個、赤のライン1個
高さ1cmでは青のライン1個
なので
1/6×3+5/6=4/3個分より
4/3cm³
とわかります。

Qの体積は小立方体が全部で
ラインが通っていないもの16個
青のライン7個
赤のライン7個
より
16+(1/6+5/6)×7=23個分より
23cm³とわかりました。


誘導も丁寧でどうやって解くのかわからないという問題はありませんでした。しかし平均点は思ったよりも高くなかったので、しっかり過去問で練習しておいてください。まずは過去問です。過去問を研究しつくしましょう(畠田)

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